今年5月に新型コロナ感染症が5類に移行してから、初めての年末年始を迎える。東京商工リサーチが発表した「2023年忘・新年会に関するアンケート調査」結果(有効回答数4747社)によると、コロナ禍で自粛が広がった忘・新年会だが、今シーズンの実施予定率は54.4%にとどまることが分かった。内訳は、「コロナ禍前(2019年末の「忘年会」、または2020年初の「新年会」)も実施しており、今回も実施する」が36.2%だった。
また、「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」は18.2%で、これを合わせた今シーズンに忘・新年会を「実施する」は54.4%と、かろうじて過半数を超えた。一方、「コロナ禍前は実施しておらず、今回も実施しない」は23.6%、「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」は21.8%で、今シーズンは「実施しない」は45.5%と、企業の「忘・新年会離れ」が進んでいる。
コロナ禍前から変わらずに実施する理由(複数回答)については、最多が「従業員の親睦を図るため」の87.0%、次いで「従業員の士気向上のため」が53.2%と半数を超えた。過去の流れを踏襲する「会社の定番行事のため」は31.9%と3分の1に満たず、時代の変化がうかがえる。規模別では、「従業員の士気向上のため」と「会社の定番行事のため」が、大企業より中小企業のほうが高かった。
「コロナ禍前は実施、今回は実施しない」企業が今シーズンは実施しない理由(複数回答)は、最多は「開催ニーズが高くないため」の53.8%、次いで「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」の42.2%だった。規模別では、開催ニーズや従業員の抵抗感を挙げる割合は、中小企業より大企業が高かった。一方、費用面を理由とする割合は中小企業が高かった。「その他」では、感染症への懸念を示す声も多く寄せられている。
企業主導の忘・新年会は参加人数が多く、客単価も高額になりやすく、二次会需要も期待される。実施動向は飲食店や食材、酒類の卸売など、関連業種の経営だけでなく、地域経済にも波及しかねない。本格的なシーズンを前に、飲食店や関連業種は、例年以上に地域動向や常連先の動きの見極めが欠かせない。
同調査結果は