東京商工リサーチが発表した「全国社長の輩出率・地元率調査」結果によると、2023年の都道府県別の人口に対する社長の「輩出率」は、「徳島県」が6年連続でトップだった。人口比は1.35%(前回1.35%)。徳島県は堅実・実利を尊ぶ県民性といわれ、四国の一角でありながら古くから大阪との交流が深く、「関西広域連合」に四国から唯一加わり、今もなお関西圏との関係は深い。阿波商人に象徴される気質が育まれているともいえる。
2位は「山形県」1.15%(前回1.18%)、3位は「香川県」1.09%(同1.13%)、4位は「秋田県」1.05%(同1.10%)、5位は「愛媛県」1.00%(同1.02%)の順。6位の「広島県」0.9%(同0.95%)までは前回(2021年)と同じ順位だったが、1位の徳島県以外は前回より輩出率が低下している。社長「輩出率」は、社長の頑張りと同時に、企業数と人口動向も大きな要因になる。
一方、輩出率が最も低いのは、「埼玉県」で0.26%(前回0.26%)だった。46位が「千葉県」の0.27%(同0.27%)、45位が「神奈川県」の0.33%(同0.33%)と首都圏の3県が占めた。次いで、44位は「滋賀県」の0.37%(同0.38%)、43位は「兵庫県」0.45%(同0.46%)と関西圏が続く。下位5県は前回と同じ順位だった。神奈川県と兵庫県以外は、人口増加で分母が大きくなったため、輩出率が抑えられた側面もある。
出身都道府県内に本社がある企業の社長を務める社長「地元率」は、「沖縄県」が92.5%で、調査を開始以来、10年連続トップ。47都道府県のうち唯一、9割を超えた。離島という地理的条件に加え、「観光、公共事業、基地」が県内産業の核になっており、他県からの移住組より地元出身者が起業するケースが多いとみられる。「地元率」の上位は、「愛知県」89.0%、「広島県」87.3%、「北海道」87.1%、「香川県」85.9%、「宮城県」85.7%が続く。
上位はいずれも地方の中核都市で、域内ビジネスでは主導権を握るのに有利だ。また、愛知や広島は自動車産業の集積地で、取引先や関連企業など裾野が広く、下請け企業の後継社長も多いとみられる。一方、「地元率」が最も低かったのは「奈良県」の64.9%。このほか、「長崎県」66.5%、「兵庫県」67.6%、「佐賀県」68.8%、「山口県」69.2%、「鹿児島県」69.5%が7割を切った。西日本勢が目立つが、逆に他県で活躍する社長を輩出する県ともいえる。
同調査結果は