中小企業のM&Aの見方が肯定的に変化~信金中金

 信金中央金庫は、四半期ごとに実施している「全国中小企業景気動向調査」結果を基に、中小企業におけるM&Aへの認識について分析したレポートを公表した。中小企業経営者の高齢化のなか、事業承継への対応が必要不可欠なケースも増えているが、様々な事情から親族内承継や従業員承継ができない企業も多く、M&Aのように思い切った手段も必要となってくる。一方で、M&Aを前向きな手段として活用しているケースもみられている。

 「全国中小企業景気動向調査」結果によると、M&Aへの認識(複数回答)については、「従業員の雇用を維持できる」が27.0%と最も大きくなり、前回(2007年)に同様の調査時の20.2%から上昇した。「事業を最適な先に譲渡できる」(23.6%)も、前回(16.3%)から上昇し、総じて肯定的な認識が強まっている。一方、「中小企業にはなじまない」、「乗っ取りなど負のイメージがある」など、否定的な認識は総じて弱まった。

 企業からは、「M&Aについては売上増大や人手不足解消のためのチャンスととらえ、金庫には情報提供を求めている」(総合建設業 山形県)や「過去にM&Aを活用して従業員を増やしたことがあり、今でも関心が高い」(土木、建設工事一式 静岡県)のように、M&Aに対して肯定的な声がある一方、「M&Aについては、高額な手数料がかかる面倒な手続きと感じている」(建物売買 静岡県)のように、否定的な声も聞かれている。

 特に若い経営者ほど、M&Aについて肯定的な見方をする傾向がみられる。具体的には、「従業員の雇用を維持できる」(30代33.0%から70代20.6%)や「事業拡大戦略の1つである」(30代28.6%から70代15.3%)といった回答の割合が若い経営者ほど高いものとなっている。一方で、「中小企業にはなじまない」や「よくわからない」といった否定的な回答の割合は、経営者が高齢なほど高い傾向がみられる。

 信金中金は、「M&Aは時間や労力を要するが、事業拡大のための有効な手段の一つであるということを、本レポートを通して、認識してもらえれば幸いだ。コロナ禍から抜け出しつつある中で、中小企業の健全な育成発展のため、信用金庫はコンサルティング機能を有効活用し、取引先企業の事業拡大を目指したM&Aへの取組みをサポートするなど、本業を支援していくことが望まれる」とコメントしている。

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https://www.scbri.jp/reports/newstopics/20231017-ma-1.html