食品スーパー、3割が「赤字」で業績悪化は過去最高

 地場の中小食品スーパーが苦境に立たされている。帝国データバンクが発表した「食品スーパー業界動向調査」結果によると、国内で食品スーパー事業を展開する企業で2022年度の損益状況が判明した約1100社のうち、31.3%にあたる349社が「赤字」だった。前年度から「減益」(37.5%)となったケースを合わせた「業績悪化」の割合は食品スーパー全体の約7割に達し、コロナ禍前後の水準を上回って過去最高を更新した。

 食品スーパーでは、外食から自炊への回帰など節約志向の高まりで利用顧客層の拡大が追い風となっている。また、帝国データバンクが今年7月に実施した「価格転嫁の動向調査」では、食品スーパーの4割超が食品などの仕入れ値上昇に対して「50%以上」の価格転嫁ができていると回答。価格転嫁率の平均も47.0%と全業種平均(43.6%)に比べて相対的に高いほか、2022年度の売上高では4社に1社が前年度から増収を確保していた。

 一方で、電気・ガス代など水道光熱費、人手不足や最低賃金の上昇によるパート・アルバイトの人件費など「インフラ」コストの増加分は、顧客の理解を得られにくいことから価格転嫁していない食品スーパーも多く、収益を押し下げる要因となっている。また、ディスカウントストアやドラッグストアなど他業態の進出、大手スーパー・量販店を中心とした割安なPB商品の集客力に対抗するため、利益面で大きく悪化したケースが目立った。

 それは、「特売」など値下げ戦略を取らざるをえなかった地場食品スーパーもあり、値上げによる増収効果を十分に享受できなかったケースだ。なお、「赤字」となった食品スーパーの割合を都道府県別(本社所在地)にみると、最も赤字割合が高いのは「鳥取県」で唯一70%を超えた。人口減少で来店が見込める商圏が縮小し、地場スーパーの撤退や閉店といった事態も発生するなか、当地のスーパーのほとんどが赤字経営と厳しい状態だった。

 また、「徳島県」(60.0%)や「滋賀県」「 岐阜県」(各50.0%)など、地方を拠点とする食品スーパーで利益確保が難しくなっている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231007.pdf