事業承継、高齢の経営者でも後継未定のケースも…

 信金中央金庫がこのほど発表した「中小企業の将来を見据えた事業承継についての特別調査」結果(有効回答数1万3352社)によると、後継者の決定状況については、「後継者はすでに決まっている」が26.2%、「後継者はいるが、まだ決まっていない」が21.4%、「候補者が見当たらない」が9.3%、「まだ考えていない」が36.3%、「後継者は必要ない(事業譲渡、廃業予定など)」が6.8%となった。

 経営者の年齢階層別にみると、「後継者はすでに決まっている」は70歳代以上で50.2%、60歳代で31.6%にとどまった。一方で「候補者が見当たらない」が70歳代以上で7.8%、60歳代で11.3%、「まだ考えていない」は70歳代以上で9.9%、60歳代で 23.8%となっており、一部の企業では、高齢の経営者でも後継未定のケースもみられることから、懸念が残る結果となった。

 現時点における事業承継の考え方については、「子供(娘婿などを含む)に承継」が38.9%と最も多くなった。ただし、前回(2016年)に同様の調査をしたときの46.6%と比較すると割合は低下。次に「現時点で考えるつもりはない」が24.8%となり、前回(21.2%)から割合は上昇した。経営者の年齢階層別にみると、「現時点で考えるつもりはない」は70歳代以上で7.8%、60歳代で16.2%となった。

 事業承継を行う際の問題点(3つまで回答)については、「事業の将来性」が49.1%と最も多くなった。地域や従業員規模、業種を問わずほぼすべての階層で最も多くの回答を集めており、事業の将来性が事業承継に当たっての最も大きな問題点であるといえる。以下、「後継者の力量」が34.9%、「取引先との信頼関係の維持」が27.8%、「借入金・個人保証の引継ぎ」が18.8%で続いた。

 M&Aへの認識(3つまで回答)については、「従業員の雇用を維持できる」が27.0%と最も多くなり、前回(2007年)に同様の調査時の20.2%から増加した。「事業を最適な先に譲渡できる」(23.6%)も、前回(16.3%)から増加し、総じて肯定的な認識が強まっている。一方、「中小企業にはなじまない」(今回 13.3%、前回39.3%)、「乗っ取りなど負のイメージがある」(今回9.2%、前回 25.0%)など、否定的な認識は総じて弱まった。

 同調査結果は

https://www.scbri.jp/reports/businesscycle/20231016-79-11.html