物流「2024年問題」、「影響がある」荷主企業は67.6%

 働き方改革関連法により、物流業界において2024年4月からトラックドライバーの年間時間外労働時間の上限規制が適用される。これによって発生する輸送量の減少や運賃上昇等の諸問題、いわゆる「物流の 2024 年問題」は、物流業界だけでなく全産業に広く影響が及ぶ可能性があると言われている。このようななか、地元中小企業はどのように見ているのか、大阪シティ信用金庫が取引先企業を対象にアンケート調査を実施した。

 調査結果(有効回答数1372社)によると、「物流の2024年問題」の理解度については、「十分理解している」企業は17.1%、「ある程度理解している」が52.5%、合わせて69.6%の企業が「理解している」と回答。この問題は全産業に影響が及ぶ可能性があり、理解度は高いと思われる。業種別にみると、「理解している」企業は、「運輸・通信業」では98.3%とほぼ全社。続いて、「卸売業」(73.5%)、「製造業」(72.1%)でも7割を超えている。

 「物流の2024年問題」による事業への影響(複数回答)については、「影響がある」とする企業は 67.6%となった。具体的に影響を受ける内容(複数回答)としては、「配送コストの上昇による利益圧迫」が 81.1%と圧倒的に多く、以下、「輸送の遅延」(46.8%)、「運送業者の選定・確保」(24.4%)、「輸送量の制限」(23.4%)、「配送距離の制限」(17.6)と続く。一方、「特に影響はない」とした企業は32.4%だった。

 業種別にみると、「影響がある」企業は、「卸売業」(88.1%)、「製造業」(77.1%)でおよそ7~8割台と多く、製品・商品等の物流量が比較的多い業種で影響を受ける企業が多いようだ。一方で、「サービス業」(40.1%)では半数以下となり、業種によるばらつきがある。対策については、「すでに対策を講じ、実行している」企業が2.8%、「これから対策を講じる予定」が37.5%と、合わせて40.3%の企業が「対策あり」としている。

 「物流の2024年問題」に対する取組み内容(複数回答)は、全体でみると、「運送事業者との連携強化」が67.5%で最も多く、以下、「輸送スケジュール、配送ルートの見直し」(41.1%)、「配送コスト上昇分の自社製(商)品、サービス等への価格転嫁」(34.9%)と続く。業種別にみると、「運送事業者との連携強化」と答えた企業割合は、「サービス業」(81.6%)、「卸売業」(76.1%)で特に高くなっている。

 今後、荷主企業が「物流の2024年問題」に伴う運賃の値上げ交渉を受けた場合の対応は、「必要であれば、値上げに応じる」が53.4%と、「物流の2024年問題」の理解度(「理解している」が 69.6%)とともに、運賃の値上げについての理解も進んでいるようだ。また、「値上げに応じるかはわからない」が27.4%あり、今後も運賃値上げに応じる企業が増加する可能性がある。一方、「値上げに応じるのは難しい」とする企業は19.2%あった。 

 同調査結果は

https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2023/2023-10-05.pdf