帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、9月の倒産件数は679件で、前年同月比16.5%増と、17ヵ月連続で前年同月を上回り、9月としてはコロナ禍前の2019年(687件)以来の水準となった。2023年1~9月の累計件数は6128件となり、倒産抑制期であった2021年通年(6015件)を既に上回った。また、前月に比べると▲8.5%減となり、2ヵ月ぶりに減少した。
一方、負債総額は6951億1000万円(前月995億100万円、前年同月1350億3100万円)となり、前月比では598.6%増、前年同月比でも414.8%増のともに大幅増加となり、2ヵ月ぶりに前年同月を上回った。これは、パナソニック液晶ディスプレイ(株)の法的整理があったことが要因。9月の負債額トップは、その液晶ディスプレイ製造のパナソニック液晶ディスプレイ(株)(特別清算、兵庫県)の5836億円だった。
業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月157件→178件、13.4%増)が最も多く、『小売業』(同108件→151件、39.8%増)、『建設業』(同125件→125件)が続いた。『サービス業』は2012年3月以来、11年6ヵ月ぶりに4ヵ月連続で170件以上を記録した。『運輸・通信業』(同22件→39件、77.3%増)は、2年ぶりに前年同月から70%を超える増加率を記録した。
負債規模別にみると、「5000万円未満」の倒産が406件(前年同月356件、14.0%増)で最も多く、全体の59.8%を占めた。次いで、「5億円未満」が130件(同122件、6.6%増)で続き、中小零細規模の倒産が目立つ一方、「50億円未満」が21件(同12件、75.0%増)と、2年1ヵ月ぶりに20件を超えた。資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が487件(前年同月408件、19.4%増)となり、全体の71.7%を占めた。
地域別にみると、9地域中7地域で前年同月を上回った。「福岡」(前年同月18件→29件)の件数が急増したこともあり、『九州』(同41件→62件、51.2%増)は増加率が最も高く、2000年以降で初めて12ヵ月連続で前年同月を上回った。『中部』(同82件→109件、32.9%増)でも、2000年以降で初めて14ヵ月連続で前年同月を上回るなど、長期にわたって増加傾向が続いている。
同倒産状況の概要は