資本主義実現会議、経済対策の強化策に減税策を議論

 政府の新しい資本主義実現会議は9月27日、経済対策の強化策として、賃上げ税制の減税制度の強化、戦略分野の国内投資促進や特許などの所得に対する減税制度の創設、ストックオプションの減税措置の充実の検討など、持続的賃上げや国内投資促進に向けた重点項目を議論した。これらの減税策の議論を同会議で行うとした同月25日の岸田首相の発言を受けたもので、10月をめどにまとめられる経済対策に盛り込まれる。

 2024年度税制改正ではこれらがポイントになりそうだ。減税の具体的措置については、年末に公表される与党税制改正大綱を待つことになる。重点項目は、(1)中小企業等の賃上げ税制について、繰越控除・措置の期限の在り方等減税措置の強化。(2)国内投資促進について、初期投資コスト及びランニングコストが高いため、民間として事業採算性に乗りにくいが、特段に国として戦略的に長期投資が不可欠となる投資を選んで、減税制度の創設。

 (3)我が国でも、海外と比べて遜色なく民間による無形資産投資を後押しする観点から、特許権等の知的財産から生じる所得への優遇減税制度の創設。(4)スタートアップのストックオプション関連の法制度や税制を早急に使い勝手のよいものとするため、株主総会から取締役会への委任内容の拡大等、会社法の特例を規定した法案の国会への提出を図る。また、ストックオプション税制の権利行使額の上限額の引き上げ等、減税措置の充実。

 (5)企業の参入・退出を促進するため、親族や長く勤めた従業員が事業を承継する場合の事業承継税制について、減税措置に係る特例承継計画の申請期限の延長等がある。なお、地方・中堅中小企業等を含めた所得向上の実現のために、予算その他の措置として、「年収の壁」を乗り越えるための支援を新たな最低賃金が動き出す来月(10月)から実施するとともに、正しい制度理解、認識の周知を図ることが盛り込まれている。

 そのほか、最低賃金については、さらに着実に引上げを行っていく必要があり、政府としては、引き続き、公労使三者構成の最低賃金審議会で、毎年の賃上げ額をしっかりと議論し、その積上げにより2030年代半ばまでに全国加重平均1500円を目指す。中小・小規模企業の賃金引上げ及び人手不足解消のため、省人化(人手不足解消)・省力化(高いエネルギーコストの節約)投資への簡易で、即効性がある支援措置を実施、なども掲げられた。

 新しい資本主義の推進についての重点事項(案)は

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai22/juutenjikou_set.pdf