自動車を購入すると、毎年都道府県から自動車税の納税通知書が送付されてくる。この自動車税は、2019年10月1日から、名称が「自動車税種別割」に変更になっているが、4月1日現在の所有者に対して都道府県が課税する税金で、5月31日までに1年分を都道府県に納付する義務がある。例えば、4月1日に前所有者から中古車を購入したとしても、4月1日午前0時の所有者である前所有者が自動車税の1年分を負担する義務がある。
したがって、買主が支払う自動車税未経過相当額の金額は、自動車税そのものとして都道府県に対して支払うものではなく、未経過期間内に継続して乗用できる中古車の購入代金の一部として「買主」に支払うことになる。例えば、営業車を中古で購入した場合、納品請求書に車両本体価格と別に自動車税未経過相当額等が区分して記載されていると、この自動車税未経過相当額を自動車税として経費処理しがちだが、これは経費にできない。
納品請求書に車両本体価格と区分して記載されていても、自動車税未経過相当額は車両本体価格に含めることになる。一方で、中古車を購入する際の未経過分の自動車税相当は、購入代金の一部になる。消費税については、自動車税種別割そのものとして都道府県に支払うのであれば課税対象外になるが、中古車購入時の未経過分の自動車税相当の金額は車両本体価格の一部となるので、国内取引として消費税の課税対象となる。
ところで、自動車税を1年分納付しているので、自動車を売却した時点で未経過期間分の自動車税を還付してくれる制度はないのか、疑問に思う向きもあろう。還付制度はあるのだが、それは年度の途中に自動車を廃車した場合で、抹消登録した月まで課税され、その翌月以降からの税金を還付するという制度だ。これは廃車が条件であり、自動車を売却しただけで未経過期間の自動車税を還付するという制度はない。
そこで、中古車販売業者が未経過期間分の自動車税を前所有者へ払い戻し、その分を買主に請求する。実質、還付される形を取るが、自動車税未経過相当額は、車両本体価格に含まれることになり、上記のように、消費税の課税取引でもあるということなので注意が必要だ。前所有者が既に納付した自動車税は還付制度がないため、お互い未経過期間分の自動車税を精算し、その精算金額を車両本体価格に含めるわけだ。