労働政策研究・研修機構が発表した「企業の賃金決定に係る調査」結果(有効回答数2530社)によると、過去2年間の賃上げ状況としては、2021年では、「定期昇給」が77.0%と最も高く、次いで、「非正規雇用者・パート労働者の昇給」が40.9%、「賞与(一時金)の増額」が29.3%、「ベースアップ」が27.2%、「新卒者の初任給の増額」が14.7%などとなっている。「以上のいずれの賃上げも実施していない」は8.7%だった。
2022年においても、「定期昇給」が76.0%と最も高く、次いで、「非正規雇用者・パート労働者の昇給」が49.0%、「賞与(一時金)の増額」が39.2%、「ベースアップ」が36.2%、「諸手当の改定」が23.3%、「新卒者の初任給の増額」が20.6%などとなっている。2時点で比較すると、賃上げ実施企業の割合は、2021年で91.3%、2022年で92.9%となっており、いずれも9割の企業が賃上げを実施している。
2022年に賃上げを実施した理由(複数回答)は、「社員のモチベーションの向上、待遇改善」が67.9%と最も高く、次いで、「最低賃金の引上げに対応するため」が46.7%、「社員の定着・人員不足の解消のため」が41.5%、「業績(収益)の向上」が19.9%、「新卒採用の人材確保のため募集時賃金を上げたいから」が16.9%、「物価上昇への対応」が16.7%、「中途採用の人材確保のため募集時賃金を上げたいから」が16.3%で続いている。
2022年に賃上げを実施した企業に、その効果を聞いたところ(各項目の該当割合(「そう思う」、「ややそう思う」の合計)を集計)、「既存の社員のやる気が高まった」が32.3%と3割の企業が揚げており、「社員の離職率が低下した」が17.6%、「企業イメージが向上した」が12.0%、「中途採用の募集の応募が増えた」が10.0%、「新卒採用の募集の応募が増えた」が6.1%となっている。
一方、賃上げを実施しない理由(複数回答)については、「業績(収益)の低迷」が70.0%と最も高く、次いで、「雇用維持を優先」と「物価高騰によるコスト上昇(急激な円安傾向、エネルギー価格の上昇等含む)」がいずれも40.6%、「固定費(所定内給与)の増加を避けたい」が28.2%、「将来の不透明感」が26.5%、「価格転嫁できない」が22.4%などとなっている。
同調査結果は