ファンド出資企業の倒産急増、過去10年で最多ペース

 帝国データバンクが発表した「ファンド出資企業の倒産動向調査」結果によると、2023年(1~7月)におけるファンド出資企業の倒産は、34件にのぼることが判明した。通年では58件前後となる可能性があり、過去最多の2014年(39件)を大幅に上回る予測だ。負債総額は、3976億円。過去10年間のピークは、マレリホールディングス(株)の倒産があった 2022年(1兆2014億円)だが、7月時点でそれに次ぐ負債総額となっている。

 ファンド出資企業の倒産が大型化した背景としては、コロナ禍での業績悪化等を受けて、FCNT(株)や(株)ダイナミクスなど大規模企業でも当初計画の実現や追加資金の投下が困難と判断される動きが進んだことがあるとみられる。倒産件数全体に占めるファンド出資企業の割合は、概ね0.3%前後で推移していたが、2023年(1~7月)は0.7%と、過去10年で最も高くなっている。

 2023年(1~7月)のファンド出資企業倒産を倒産態様別にみると、最多は「破産」の23件(構成比67.6%)。「特別清算」と合わせると、「清算型」の法的整理の割合は76.4%。過去10年の累計と比べると「破産」の割合が高い。一方で、倒産全体における「清算型」の割合(2023年上半期で96.9%)と比べると、これを大きく下回っており、ファンド出資企業の倒産では、事業譲渡などのスキームが可能な「再生型」が多いことが分かった。

 1~7月のファンド出資企業倒産を業種別にみると、最多は「サービス業」の11件。次いで「小売業」、「卸売業」が6件で並んだ。過去10年の累計と比べると、コロナ禍の影響を大きく受けた飲食店を含む「小売業」の割合が高くなっていることが分かる。ただ、コロナ禍でダメージを受けた業者でも、ファンドからファンドへ事業譲渡されたのちに、金融債務だけ残した旧会社を法的整理するケースもある。

 法的整理を利用した債務カットを前提とすることで、アフターコロナでの事業価値をファンドが評価し、事業が存続するという事例もある。過去10年のファンド出資企業倒産を業種別にみると、最も多いのは「サービス業」の89件(構成比34.5%)となった。以下、「製造業」の51件(同19.8%)、「卸売業」の49件(同 19.0%)と続く。倒産全体では2割前後を占める「建設業」は、11件(同 4.3%)にとどまった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230814.pdf