9月の食品値上げは2067品目、値上げ機運「鈍化」

 帝国データバンクが発表した「価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした9月の飲食料品値上げは、合計で2067品目となった。前年9月(2920品目)から853品目減・7割の水準にとどまったほか、値上げが本格化した2022年以降、初めて2ヵ月連続で前年同月を下回った。値上げの浸透で収益がある程度改善し、原材料価格も一服してきたことから、値上げ機運は後退の気配もみられる。

 2022年9月に値上げされた食品のうち、約半数を占めた肉製品やバター・マーガリンなど油脂製品、魚介缶詰製品などでまとまった値上げが見送られたことが主な要因となった。一方で、スパイス製品やアイス・氷菓類などは再値上げが実施されるほか、鏡餅や切り餅などコメ加工食品、みそ・しょうゆなどが9月に値上げ予定で、値上げ食品のジャンルは前年同月に比べてより範囲が広がった。

 2023年通年の値上げ品目数は、既に実施されたものや今後予定するものを含め、累計で3万1036品目となった。2022年通年の2万5768品目を既に上回り、年間累計としてはバブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなっている。ただ、8月末時点の判明分としては10月の値上げ(4533品目)が前年に比べ約6割の水準にとどまるほか、11月の値上げも前年より大幅に少なく、8月以降4ヵ月連続で前年同月を下回るとみられる。

 年内の値上げは、急激に値上がりした前年の原材料価格の上昇分を販売価格に反映できた企業が増えており10月を最後に一旦ピークアウトし、最大で2022年比1万品目増の3万5000品目にとどまるとみられる。なお、2023年9月の値上げは、「調味料」(1257品目)が全食品分野で最多だった。みそ・しょうゆ、だし関連製品などが値上げ対象となる。「加工食品」(490品目)は、チルド・冷凍食品や乾麺製品、肉製品などが中心だった。

 そのほか、「菓子」(206 品目)は、柿の種やチョコレート菓子、アメ、マルチタイプの氷菓製品など幅広い品目にわたった。また、2023年通年では、「加工食品」(1万1772品目)が全食品分野で唯一1万品目を超えたほか、輸入小麦粉や生乳、粗糖、チョコレートの原料となるカカオ豆などの原材料価格が上昇したことが影響した「菓子」(2197品目)の値上げが目立っている。