国交省、持続的な経済成長の実現などに向け税制要望

 国土交通省は8月24日、(1)持続的な経済成長の実現、(2)豊かな暮らしの実現と個性をいかした地域づくり、(3)災害に強く安全で安心な社会の実現、の3本柱からなる2024年度税制改正要望を公表した。主な要望をみると、不動産市場の活性化として、土地に係る特例措置である固定資産税の負担調整措置や、市町村等が一定の税負担の引下げを可能とする条例減額制度の適用期限を3年間延長するよう求めている。

 その理由として同省は、足元の経済がコロナ禍前の水準まで回復しておらず、物価上昇の影響等も懸念され、経済回復の歩みを着実なものにすることが重要となっていること、また2024年度は固定資産税「評価替え」により引き続き税負担は増加することから、仮に負担調整措置等が縮小・廃止となれば、都市部の商店主や製造業をはじめ、広く国民の負担が大幅に増加し、経済回復に大きく影響するため、としている。

 住宅関連では、国民一人ひとりが、ライフステージに応じた住宅を無理のない負担で円滑に取得できる住宅市場の実現のため、居住用財産の買換え等に係る特例措置を2025年12月末まで延長することを求めている。また、既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置を2年間延長するとともに、子育てに対応した住宅へのリフォームに係る所得税の特例措置の新設などを盛り込んだ。

 今回の要望では制度創設は少ないが、その1つに「まちづくりGXの推進に向けた都市緑地保全の更なる推進のための特例措置の創設」がある。国際的、国家的に気候変動への対応や生物多様性の確保、Well-beingの向上等の取組み(まちづくりGX)が求められるなか、都市において緑地保全の重要性が高まっており、開発可能性の高い都市部で緑地保全を図るには、強力な行為制限を課す「特別緑地保全地区」等の適切な確保・拡大が必要となる。

 しかし、地方公共団体等においては、財政や体制上の制約等により、必要な土地の買入れの遅れや管理不全による緑地の荒廃等の課題が顕在化している。そこで、特別緑地保全地区等の土地の買入れ等を全国一元的に担う国交相が指定する公益団体による事業の円滑実施のため、国指定法人に対して緑地の所有者が土地を譲渡した場合、その土地の譲渡所得から2000万円を控除できる特例措置を時限的ではなく恒久的な措置とするよう要望している。

「国土交通省税制改正要望事項」は

https://www.mlit.go.jp/page/content/001625518.pdf