宮城県では、再生可能エネルギーの最大限の導入と森林保全の両立を目指す新税である法定外普通税の「再生可能エネルギー地域共生促進税」を導入する。すでに新税に関する条例が本年7月4日に議会で成立・同11日に公布されており、現在、法定外普通税の新設に必要とされる総務大臣の同意待ちで、同意を得た日から起算して6月を超えない範囲内において施行することとしており、2024年4月までの施行を目指す。
太陽光発電等の再生可能エネルギー発電設備が森林に設置される場合、森林の伐採による土砂災害や景観、環境への影響が問題となる例が起こっている。新税の導入は、0.5ヘクタールを超える森林を開発し、再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス)発電設備を設置した場合、その発電出力に応じて、設備の所有者に課税するもので、課税により、再エネ施設の設置を、森林から平野の未利用地等の「適地へ誘導」することが狙い。
課税対象は新税導入後に着工される設備。税率は、出力1キロワット当たり、太陽光発電設備が620円、風力発電設備が2470円、バイオマス発電設備が1050円。ただし、地球温暖化対策推進法の趣旨に沿うよう、森林に設置される場合であっても、その場所が再エネ施設の設置を促進する「促進区域」であり、その事業が地域脱炭素化促進事業として市町村が認定したものは非課税とする。
また、再生可能エネルギー発電事業のエネルギーは、①太陽光発電、②風力発電、③水力発電、④地熱発電、⑤バイオマス発電、の5種類だが、同じ再生可能エネルギーでも、水力と地熱発電は課税対象外となる。水力発電の設置場所は河川やダム付近に、地熱発電の設置場所は火山・地熱地帯に限られることから、税による適地への誘導が不可能で、新税の目的と合致しないことが明らかなためだ。
一方、再生可能エネルギーの事業者団体である太陽光発電協会、日本風力発電協会等は連名で宮城県に対し、「本新税の導入の目的は、宮城県内における大規模森林開発の制限だが、一方で、本新税のような『法定外税』の導入は前例主義的であることを鑑みると、ひとたび宮城県において本新税が導入されれば、本新税の本来の趣旨を離れて、他の都道府県等においても類似の税の導入が検討されることが懸念される」との意見を表明している。