東京電力福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国政府は日本産の水産品について全面輸入停止措置に踏み切った。これまで中国政府や香港政府が行ってきた、10都県に限定した水産品や食品の輸入制限から踏み込んだ厳しい内容で、現状では取引正常化のメドが立たない状況が続く。帝国データバンクが発表した「中国の対日輸入規制による日本企業の影響調査」では、日本産水産品「禁輸」が食品輸出700社に影響することが分かった。
調査結果によると、在中国の企業に製品やサービスなどを販売(提供)する、対中国への輸出を直接・間接的に行う食品関連企業は、2023年8月現在で対中輸出全9270社のうち700社超に及ぶことが判明。対中輸出全9270社は、2019年調査時点で判明した5045社に比べ、4225 社・83.7%増加。このうち、香港特別行政区(以下、「香港」)向けに輸出を行う企業は2639社判明し、2019年から1183社・81.3%増加した。
中国向けの輸出は、中国経済の減速に加え、先端半導体の製造装置などの品目で輸出規制が実施されるなど先行きの不透明感が強い。ただ、円安相場が輸出に有利に働いていることに加え、14億人を有する中国市場の大きさを背景に、中国向け輸出を行う企業が増加した。中国への輸出企業を関連産業別にみると、最も多いのは自動車や家電など電化製品、製造機械など「機械・設備」で、全体の約4割を占めた。
中国の最終組立工場へ向けた部品供給などのほか、中国市場への完成品輸出・販売などが多くみられた。次いで、漁業や農業など一次産業から、食品加工・販売までを含めた「食品分野」が7.8%で続き、うち鮮魚卸や水産加工など水産品関連を主業とする企業の割合が1.8%だった。取扱い品目は、和牛や日本酒、健康・美容系飲料など清涼飲料水、生鮮食品など多岐にわたり、水産品では干しナマコやホタテなど多様な食品の取扱いがみられた。
なお、中国での日本産食品の需要増を背景に、異業種ながら食品を取り扱うケースもあった。また、自社の販売額のうち中国向け販売(輸出)が占める割合は、全産業平均(対象:約2000社)で1社あたり平均 42.8%にのぼった。なかでも、近年の日本食ブームを背景に中国向けの販売が伸びる食品産業では1社平均で 50%を超え、「機械・設備」など他産業に比べて割合が大きく、中国向けへの比重が高い傾向がみられた。
日本産食品への高い知名度や購買力などを背景に食品の輸出先として重視される香港では、食品産業の占める割合が12.0%・316 社と1割を超えた。このうち、水産品関連を主業とする企業は香港向け輸出企業全体の2.1%・56 社と少ないものの、販売額のうち香港向けが占める割合はいずれも大きかった。
同調査結果は