東京商工リサーチが発表した「企業のSNS運用に関するアンケート調査」結果(有効回答数4947社)によると、全体の54.8%がSNSを「運用していない」と回答した。さらに、SNSを活用している企業でも、約3割(29.3%)が「効果は得られなかった」と回答。SNSはコンテンツそのものが直接売上に直結するツールではなく、メディアごとの特徴も異なるだけに、運用のあり方やリスク対応など企業によって空気感は大きな差がある。
SNSの用途は年々、広がっている。自社や商品の認知向上、セールスだけでなく、SNSを通じ学生やその保護者らに事業活動や社員の働く様子をPRして新卒採用に活用するなど、多岐にわたる。だが、「運用していない」企業は54.8%と半数を占める。活用されているSNSでは、トップは「LINE」で21.7%。僅差で、「Facebook」(20.2%)、「Instagram」(19.6%)が続く。
従業員数別は、300人以上の企業で「YouTube」29.4%、「Instagram」29.0%が他のレンジに比べ高かった。動画や画像にかかる編集などのコストは小・零細企業にはリソース面での負担が大きい。こうした費用対効果が不透明な分野への取組みに消極的な企業は少なくない。また、SNSを運営している企業(有効回答数2044社)の運営後の効果は、最多は、「会社のイメージが向上した」(32.2%)だった。
「会社のイメージが向上した」に次いで、「自社の製品・サービスのイメージが向上した」(26.7%)、「社員間のコミュニケーションが活発になった」(24.5%)と続き、社内外への情報の訴求効果を評価している。一方、「従業員採用の応募者が増加した」は7.9%と1割未満にとどまった。対外的なイメージアップやサービスの認知には、効果を実感できている企業が一定数あった半面、人材採用への効果は限定的だった。
新卒採用などで業務紹介ツールにSNSを使用する企業も散見される。だが、企業規模を問わず効果は限定的で、同業他社とのコンテンツ制作の差別化は不可避となりそうだ。また、「特に効果は得られなかった」が29.3%と約3割を占め、業種別では、「製造業」が26.3%で最も多く、次いで、「卸売業」(20.7%)、「サービス業他」(18.7%)、「建設業」(14.6%)と続く。一方、「小売業」は5.8%にとどまった。
同調査結果は