テナントから受領している電気料金の消費税の取扱い

 不動産賃貸業を営むビルのオーナーがテナントで使用する電気料金を一括して電力会社に支払い、賃料とは別に電気料金を各テナントに毎月請求していて、その金額を受領しているケースは少なくない。この場合の消費税の取扱いはどうなるのだろうか。消費税法上、テナントから賃料とは別に受領している電気料金等は、消費税法基本通達(10-1-14)において規定されている。

 具体的には、「建物等の資産の貸付けに際し賃貸人がその賃借人から収受する電気、ガス、水道料等の実費に相当するいわゆる共益費は、建物等の資産の貸付けに係る対価に含まれる」とされている。このことから、オーナーがテナントから受領した電気料金は課税売上に該当することになる。ただし、請求する電気料金の算出の仕方等で課税の取扱いが異なる場合があるので注意が必要となる。

 例えば、各テントへの請求金額が、テナントごとに区分された電気メーターの検針結果をもとに算出された金額で、オーナーが電力会社に支払うべき金額を単に預かっているに過ぎない場合は、各テントから受領した電気料金を、預り金処理を条件に、消費税の対象外とすることが認められる。一方で毎月の電気料金を定額としている場合や、電力使用量に応じた金額に手数料等を上乗せして請求している場合は、消費税の課税対象となる。

 このように、電気料金を実費精算しているか、経理処理をどのようにしているかで課税関係が異なってくるわけだ。ところで、テナントビルのオーナーが簡易課税制度の適用受けている場合は、賃料収入の事業区分は第六種事業扱いになるのだが、注意したいのは、賃料とは別に請求し受領している電気料金が課税対象になる場合は、事業区分は第六種事業とはならないことだ。

 この場合は、オーナーが電力会社から購入した電気を品質や形状を変更しないまま、事業者であるテナントに売っているものと認められるので、第一種事業に該当すると考えられる。不動産業賃貸業に付随する取引は第六種事業として判断してしまいがちなので留意が必要だ。このように勘違いする場合も少なくないと思われる。事業区分の判断を誤ると税額に影響するので、慎重に検討する必要がある。