インボイス制度開始に伴い勘定科目内訳書の様式改定

 インボイス制度の開始が目前に迫って、各事業者のインボイス制度への対応が進んだように思われる。インボイスを受け取る側から事業者番号や申請状況を確認するなど、各事業者が事前準備を行っている。今後行う必要がある領収書等の確認作業を考えると気が重くなる事業者も多い。受け取った領収書等から発行事業者の登録状況確認や記載要件の確認、消費税等の経理処理など、確実に事務負担は増加することになる。

 そうしたなか、インボイス制度開始に伴い、勘定科目内訳書の様式も改定されることになった。2024年3月1日以後に終了する事業年度分の法人税確定申告書等に添付する勘定科目内訳書(国税庁が定める16様式のうち、10様式)に取引先の法人番号又はインボイス登録番号を記載する欄が追加される。ただし、記載する欄は追加されるが、登録番号等を記載するかどうかは任意とされている。

 登録番号等を記載する場合には、名称及び所在地の記載を所略することが可能とされている。名称等を省略して登録番号等のみ勘定科目内訳書を作成した場合、かえって確認作業に手間がかかりそうだが、登録番号等のみで管理する事業者は少ないと考えられるので、登録番号等を含め、名称及び所在地のすべてを記載するケースが多くなるのではないかとみられている。

 具体的に登録番号等の記載欄が追加された勘定科目内訳書は、(1)受取手形の内訳書、(2)売掛金(未収入金)の内訳書、(3)仮払金(前渡金)の内訳書、貸付金及び受取利息の内訳書、(4)固定資産(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)の内訳書、(5)支払手形の内訳書、(6)買掛金(未払金・未払費用)の内訳書、(7)仮受金(前受金・預り金)の内訳書、源泉所得税預り金の内訳、(8)土地の売上高等の内訳書。

 さらに、(9)地代家賃等の内訳書、工業所有権等の使用料の内訳書、(10)雑益、雑損失等の内訳書、が記載欄が追加された勘定科目内訳書だ。また、国税庁のe-Taxソフトで勘定科目内訳書等を作成する場合、登録番号等を入力すると自動的に名称や所在地が入力される機能をリリースすると発表されている。こうした機能をうまく使って、少しでも効率的に作業したいものだ。