東京商工リサーチが発表した「経営環境に関するアンケート調査」結果(有効回答数5940社)によると、新型コロナ感染拡大の企業活動への影響について、「継続している」と回答した企業は34.4%で、2020年8月以降では最低となった。しかし、今年7月の売上高が「コロナ禍前(2019年)以上」の企業は50.0%と半数にとどまる。また、コロナ禍で取引先の廃業を37.5%の企業が経験し、このうち約3割の企業では焦付きも生じている。
今年7月の売上高は、「100以上」は60.6%で、39.3%が前年割れ(減収)となった。規模別の「減収企業率」は、大企業が33.3%、中小企業は40.1%だった。コロナ禍前の4年前(2019年)7月を「100」とした2023年7月の売上高は、「100以上」は50.0%にとどまり、49.9%が減収だった。規模別では、大企業の45.7%、中小企業の50.4%がコロナ禍前の売上高を確保できていない。企業規模によって格差が顕著だ。
直近1年間における取引先の廃業の有無は、「仕入先(外注先)の廃業があった」が23.2%、「販売先(得意先)の廃業があった」が22.4%。取引先(仕入先・販売先の一方または両方)に廃業があった企業は37.5%にのぼる。取引先に廃業があった企業を業種別で分析すると、最も多かったのは「織物・衣服・身の回り品小売業」と百貨店やミニスーパー(食料品メインは除く)などの「各種商品小売業」の70.0%だった。
販売先(得意先)が廃業した際の影響(複数回答)は、最多が「売上高が減少した」の51.7%だった。また、「貸倒れ(焦付き)が発生した」は28.2%にのぼった。倒産ではなく廃業でも焦付きリスクがあることが浮き彫りになった。規模別でみると、「売上高が減少した」は大企業で34.6%、中小企業で54.0%だった。販売先(得意先)企業数が相対的に少ない中小企業にとって取引先の廃業は死活問題になりかねない。
金融機関から資金調達する際の個人保証の提供の有無については、「提供している」企業は48.3%だった。規模別でみると、大企業の10.6%に対して中小企業では52.2%に達した。「提供している」と回答した企業が多かった業種の最多は、「家具・装備品製造業」の72.0%。一方、「提供していない」と回答した企業の業種では、「協同組合」の79.1%が最も多く、次いで「倉庫業」の75.0%だった。
同調査結果は