日本経団連が発表した「2023年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果」の最終集計によると、大手企業の定期賞与とベースアップを合わせた賃上げ率は2022年実績を1.72ポイント上回る3.99%となった。同調査は、原則、東証一部上場企業、従業員500人以上の主要21業種大手241社を対象に実施。最終集計は、21業種190社(78.8%)で妥結しているが、このうち平均金額不明などの54社を除いた136社の回答を集計したもの。
調査結果によると、賃上げ幅は5800円上昇して1万3362円となり、賃上げ率とともに約30年ぶりの高水準となった。賃上げ率は1993年の3.86%、賃上げ幅は1992年の1万3391円とほぼ同じ水準となった。この背景には、新型コロナウイルス禍が落ち着いてきたことから経済が正常に戻り、企業の業績が全体的に堅調なことに加え、物価上昇や人材確保への対策が大きな要因となったことがある。
製造業・非製造業別にみると、製造業(125社)平均は、妥結金額が1万3121円、賃上げ率が3.99%で、2022年実績と比べ、金額で5570円増、賃上げ率で1.71ポイント上昇ともに増加。また、非製造業(11社)平均は、妥結金額が1万4579円、賃上げ率が3.96%で、2022年実績と比べ、金額で6503円増、賃上げ率で1.76ポイント上昇と、製造業、非製造業ともに大きく増加した。
業種別にみると、妥結金額は、「建設」(5社)の2万3389円(賃上げ率4.51%)が最も高く、次いで「造船」(12社)の1万8990円(同5.66%)、「機械金属」(6社)の1万6077円(同5.03%)、「化学」(29社)の1万4961円(同4.45%)、「繊維」(12社)の1万4911円(同4.58%)が続いた。また、賃上げ率は、16業種中、2年に1度の交渉方式を採る鉄鋼を除く15業種で前年実績を上回った。最高は「造船」の5.66%だった。
2023年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果は