EY新日本有限責任監査法人が発表した日本の新規上場動向によると、2023年1月~6月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値2万5716円でスタートし、円安・ドル高基調などの影響を受け徐々に上昇を続け3月には2万8千円台となったが、米国での銀行破綻がきっかけの欧米の金融システム不安などから一時2万6千円台に下落。しかし、その後は再び上昇を続け5月中旬には3万円台となり、6月最終日終値は3万3189円となった。
そのような市場環境のなか、新規上場企業数は、58社(TOKYO PRO Marketを含む)となった。前年同期(2022年1月~6月)と比べると10社増。市場別にみると、全体の50.0%に当たる29社が東証グロースに上場し、新興市場合計で全体の79.3%を占める。業種別では、情報・通信業24社、サービス業11社となっており、それぞれ新規上場企業全体の41.4%及び19.0%を占め、他の業種社数との開きが昨年同様に見られる。
本社所在地別では、全体の63.8%にあたる37社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中している。赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロースに上場した10社、TOKYO PRO Marketに上場した2社あり、またTOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、初値が公募価格を下回った会社は4社あった。
直前期の売上高の分布をみると、「10億円未満」の企業が8社(13.8%)、「10億円以上50億円未満」の企業が29社(50.0%)であり、全体の約3分の2程度を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めている。売上高が200億円を超える新規上場企業は、東証プライム1社、東証スタンダード1社、東証グロース2社、TOKYO PRO Market2社の合計6社にとどまっている。
初値時価総額の分布をみると、「50億円未満」の企業が19社(32.8%)、「50億円以上100億円」未満の企業が12社(20.7%)で、全体の2分の1程度を占める。500億円を超えた企業は7社(12.1%)あり、昨年同期(1社、2.0%)と比較して大幅に増加。初値時価総額が最も高かったのは、楽天銀行株式会社の3155億円。マザーズ・ジャスダック・グロース市場の平均初値時価総額は279億円と、前年同期の146億円と比べて大幅に増加した。
監査法人別では、「有限責任あずざ監査法人」が7社(12.1%)、「EY新日本有限責任監査法人」6社(10.3%)、「有限責任監査法人トーマツ」6社(10.3%)、となり3法人合計で1/3に届かない一方で、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえる。