役員報酬1億円以上開示、474社・994人で過去最多

 東京商工リサーチが発表した「役員報酬1億円以上開示企業調査」結果によると、2022年度に役員報酬1億円以上を開示した上場企業は474社で、人数は994人だった。前年度より社数は40社増、人数は66人増で、それぞれ過去最多だった前年度の434社(928人)を上回り、制度開始以来、最多を更新した。同調査は、2022年度決算の上場企業3899社(7月31日まで提出)を対象に、役員報酬1億円以上を個別開示した企業を集計したもの。

 コロナ禍の2020年度は世界的な市場縮小などで、開示社数は前年度を下回り、人数はわずかな増加にとどまった。だが、2021年度は世界的に経済活動が再開し、円安などで業績が好転した企業も増え、社数・人数ともに大幅に増加。2022年度は、アフターコロナへの動きが本格化し、社数・人数はさらに前年度を上回った。報酬総額は2166億4500万円(前年度2024億1400万円)で、前年度比7.0%増と上回った。

 役員報酬の主な内訳は、基本報酬が905億9400万円(前年比7.9%増)と全体の4割(構成比41.8%)を占め、退職慰労金は50億円(前年比▲18.9%減)と大幅に減少した。近年は、株式報酬など非金銭報酬が報酬額を押し上げる要因になっている。2022年度の役員報酬は、トップが2年連続でZHDの「慎ジュンホ取締役」。2位は、7&iHDのジョセフ・マイケル・デピントの37億8700万円(同23億8800万円)だった。

 報酬額「1億円以上2億円未満」は686人(前年度652人)で、前年度より34人増加したが、構成比は69.0%と前年度(70.2%)から1.2ポイント低下した。一方、「2億円以上5億円未満」は253人(同220人)で、全体の25.4%(同23.7%)を占め、役員報酬額の高額化が進んでいる。役員報酬は、依然として基本報酬が中心だが、金額を押し上げる退職慰労金制度の廃止が進み、退職慰労金の報酬は減る傾向にある。

 役員報酬を開示した474社のうち、開示人数「10人以上」は3社。一方、「1人」は242社(構成比51.0%)で、半数を占めた。企業別の開示人数は、「日立製作所」が20人で、4年連続最多だった。開示人数が20人以上だったのは、2018年度の三菱電機(21人)以来、4年ぶり。以下、「伊藤忠商事」の14人、「三菱重工業」の10人、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」と「三井物産」、「野村ホールディングス」の各9人。

 なお、役員報酬1億円以上開示は、2010年3月31日に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正」で、上場企業は2010年3月期決算から取締役(社外取締役を除く)、監査役(社外監査役を除く)など、役職別及び報酬等の種類別の総額、提出企業と連結子会社の役員としての連結報酬1億円以上を受けた役員情報の有価証券報告書への記載が義務付けられたもの。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197847_1527.html