多世帯同居改修工事で適用できる特別税額控除の要件

 住宅特定改修特別税額控除をご存じだろうか。これは、個人が、自己が所有している居住用家屋について多世帯同居改修工事を行った場合において、その家屋を2016年4月1日から2023年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときに、一定の要件の下で、一定の金額をその年分の所得税額から控除(住宅特定改修特別税額控除))することができるというもの。この控除は、住宅ローン等の利用がなくても適用できる。

 個人が多世帯同居改修工事をした場合で、住宅特定改修特別税額控除の適用を受けることができるのは、次の(1)~(7)のすべての要件を満たすとき。(1)自己が所有する家屋について、多世帯同居改修工事をして、2016年4月1日から2023年12月31日までの間に自己の居住の用に供していること。(2)工事の日から6ヵ月以内に居住の用に供していること。(3)この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3000万円以下であること。

 (4)工事をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること。(5)2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。(6)多世帯同居改修工事に係る標準的な費用の額が50万円を超えるものであること。(7)工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

 この場合の床面積の判断基準は、ア.床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断する。イ.マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断する。エ.店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断する。

 さらに、オ.夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断する。ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断する。 なお、多世帯同居改修工事とは、家屋について行う他の世帯との同居をするのに必要な設備の数を増加させるための増築、改築、修繕または模様替えで、調理室を増設する工事、浴室を増設する工事、便所を増設する工事または玄関を増設する工事を含む増改築等をいう。ただし、自己の居住の用に供する部分に調理室、浴室、便所または玄関のうちいずれか2以上の室がそれぞれ複数になる場合に限る。