厚生労働省が28日に公表した2022年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.05歳(前年比-0.42年)、女性の平均寿命は87.09歳(同-0.49年)となり、ともに2年連続で前年を下回った。簡易生命表は、1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかとの期待値などを、死亡率や平均余命などの指標によって表したもの。
2021・22年ともに新型コロナ感染症拡大の影響によって死者数が増加したことが原因で、コロナ感染症が落ち着けば、再び平均寿命が伸びる可能性があるとみられる。平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、男は悪性新生物<腫瘍>などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いているが、男女とも新型コロナ感染症(COVID-19)、心疾患(高血圧性を除く)、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働いている。
男女それぞれ10万人の出生に対して65歳の生存数は、男8万9573人、女9万4362人。これは65歳までの生存者の割合が男は89.6%、女は94.4%であることを示している。同様に、75歳までの割合は男75.3%、女87.9%、90歳までの割合は男25.5%、女49.8%となる。また、生命表上で、出生者の半数が生存すると期待される寿命中位数は、男83.93年、女89.96年で、男女ともに平均寿命を2.88年上回っている。
なお、平均寿命の諸外国との比較は、国により作成基礎期間や作成方法が異なるため、厳密な比較は困難だが、現在入手している資料を用いて比較すると、男性は、「スイス」が81.6歳でトップ、2位は「スウェーデン」(81.34歳)、前回3位の「日本」(81.05歳)は「オーストラリア」(81.30歳)に抜かれて4位となった。女性は、「日本」(87.09歳)が1位を維持し、次いで「韓国」(86.6歳)、「スペイン」(85.83歳)が続いている。
2022年完全生命表の概況は
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life22/dl/life22-15.pdf