産業能率大学総合研究所が発表した「新入社員の会社生活調査」結果(有効回答数316人)によると、本年度の新入社員の35歳の時点での“理想の年収”は、「600~700万円未満」が20.8%で最も多く、次に「500~600万円未満」が19.5%で続いた。「300万円未満」が2.2%いる一方で、「2000万円以上」も2.9%いるなど、幅広く理想の年収を挙げている。 この結果、加重平均値では過去最高の727万3642円となった。
近年、導入企業が増えてきた“副業制度”の利用意向は、「利用したい」が40.8%で過去最高となり、「どちらかといえば利用したい」の41.1%を合計すると“利用したい”意向があるのは、81.9%となっている。この副業制度を“利用したい”という回答は、過去最高だった昨年度(82.8%)から1.7ポイント減ったが、この調査を開始した2018年度以降、依然として増加傾向にあり、2年連続で8割以上が“利用したい”としている。
副業制度を利用したい理由(複数回答)としては、4年連続で「将来のために貯蓄したいから」(62.9%)が最も多く、次いで「趣味のために使いたいから」(33.2%)、「日常の生活費に充てたいから」(21.2%)と続く。「趣味のため」は昨年度比で6.9ポイント減少し、「日常の生活費」は7.8ポイント増となった。この結果からは、日本の平均賃金が30年間にわたり増えていない現状から、経済的な不安を見て取れる。
また、働き方改革として注目を集め、コロナ禍によって導入が一気に進んだテレワーク制度は、「利用したい+どちらかといえば利用したい」が85.4%。“利用したい”という意向は昨年度から0.2ポイント増え、過去最高を更新した。様々な規制等が解除され、テレワークを減らす企業も増えているが、学生時代からテレワークに慣れている新入社員、特に効率重視と言われるZ世代では、テレワーク利用の要望が定着してきているようだ。
テレワーク制度を利用したい理由(複数回答)は、「時間が有効に使えるから」が54.1%で最多、次いで「通勤電車の密を避けられるから」が49.6%、「自分のペースで仕事ができるから」が38.1%と続いた。一方、利用したくない理由(複数回答)としては、「仕事上の質問や確認がしにくい」が過去最高の45.7%で最も多く、次いで「一人で仕事することが不安だから」が41.3%。この不安要素は昨年度の16.7%(6位)から大幅に上昇した。
同調査結果は
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/research-report/files/2023_Company-life-survey.pdf