東京オフィス市場の縮小傾向は止まらず~りそな総研

 りそな総合研究所が発表した表題の景気レポートによると、企業や消費者の間でアフターコロナの動きが広がるなか、地価も徐々に上昇傾向がみられるなど、不動産市場にも少し明るさが出てきた。ただし、オフィス市場は全体的に回復の遅れが目立つ。三鬼商事の公表データをみると、空室率の動きに端的に表れており、東京、大阪、名古屋ともに空室率は上がったままで、低下の動きはほとんど進んでいない。

 一方、平均賃料の動きをみると、賃料の低下が続いている東京に対し、大阪、名古屋に関しては、横ばいか上昇傾向。特に、名古屋はそもそもコロナ禍による落込みはほとんどみられず、足元も好調な動きが続く。名古屋のような「空室率が横ばいで、平均賃料が上向き」という市況をどう判断すべきかは難しいが、賃料が上昇している以上、少なくとも需要は堅調とみられる。その点、東京は賃料が下がり続けており、ポジティブな評価は下しにくい。

 三鬼商事の公表データを元に、稼働床面積(貸室面積-空室面積)を算出し、それに平均賃料を乗じて、各地域のオフィス市場規模を推計した結果、東京では減少傾向が続き、足元は87前後の推移となっている一方、大阪は名古屋とともに、直近は緩やかながら増加の動きがみられる。さらに、その他の都市では市場の拡大傾向が明確となっており、福岡は110を上回っているほか、横浜や札幌も好調な動きをみせている。

 こうしてみると、東京の回復の遅れが目立つが、一つの要素としては、コロナ禍以降の新規供給の増加が挙げられる。ただでさえ市況が万全ではないなか、新たな供給が増えることで、供給過多となっている状況は否めない。ただし、こうした動きは東京だけではない。福岡や横浜での供給増加率は東京を上回るにもかかわらず、市場全体の拡大が進んでいる。そこで指摘されるのが、企業の本社移転の動きである。

 様々な調査でも明らかなように、コロナ禍以降、企業が東京から本社を移転する動きが増えている。コロナ禍による市況の悪化に加え、東京からの移転が加わることで、需要の回復が遅れている可能性が指摘できる。このほか、大阪でも回復がやや遅れている点に注目すると、大都市共通のテレワーク導入の影響も挙げられ、これらを勘案すると、東京のオフィス市況が回復局面に入ったとは判断できず、今後についても楽観が難しい状況といえる。