コロナ禍の業績悪化などによる人員削減の影響が、足元の「ポストコロナ」で深刻化している。帝国データバンクが発表した「企業の正社員・アルバイト従業員数動向調査」結果によると、2022年度末とコロナ前の19年度末(各3月)の3年間で、正社員のほかパート・アルバイトを含めた従業員数が比較可能な約7万2000社を調査した結果、3割超の約2万3000社で、総従業員数がコロナ前に比べて「減少した」ことが判明した。
減少幅をみると、「1割以下」が最も多く15%にのぼり、次いで「2~3割以下」が14%だった。一方で、19年度から5割超減となった企業も2%あった。また、コロナ前と同等かコロナ前以上に人手を確保できた企業は6割超(64.9%)を占めた。雇用形態別にみると、正社員がコロナ前から「減少(戻っていない)」した企業は31.3%で、なかでも5割超減少した企業は2.3%にとどまった。
一方、パート・アルバイトなどの非正社員では34.2%の企業でコロナ前から「減少」し、5割超減少した企業が9.4%と約1割にのぼった。雇用調整助成金などの支援効果もあり、正社員ではコロナ禍前後で大幅な雇用減には至らなかった一方で、シフト制などが多い非正社員で特に減少が目立つ。業種別にみると、総従業員数が「減少」した割合が最も多いのはホテル・旅館などの「宿泊業」で、6割(62.4%)の企業で総従業員数が減少した。
「宿泊業」は、雇用形態別では正社員が53.1%、非正社員で55.7%の企業が、それぞれコロナ前から減少したままで、全業種のうち唯一、正社員・非正社員ともに「減少」が5割を超えた業種となった。飲食店や娯楽業、出版・印刷といった業種でも5割超で総従業員数がコロナ前から戻らず、なかでも「飲食店」における非正社員の「減少」割合は全業種中で最高だったほか、コロナ前から「5割超減」となった割合も1割を占めた。
営業自粛や行動制限が解除され、客足が戻りつつある宿泊業や飲食店で、コロナ禍で減少した人手の回復が大幅に遅れている。一方、総従業員数が「コロナ前水準(減少の割合が低い)」だった業種には、「医療業」(23.9%)やソフトウェア開発などの「専門サービス」(27.9%)、「職別工事」(26.3%)、「農林水産」(25.4%)などが該当した。
同調査結果は