外食は8月、飲酒は12月が多い~経産省レポート

 新型コロナ感染症の位置付けが2類相当から5類に移行し、経済活動も徐々に新型コロナ前にもどりつつある。経済産業省の経済解析室がまとめた分析レポートは、これまでの3年間で、大きな影響を受けていると言われる一つの事例として飲食関連を採り上げている。それによると、飲食店、飲食サービス業の活動をみると、「飲食店」を構成する4つの業態と持ち帰り弁当や宅配ピザなどの「飲食サービス業」に大きな差がみられる。

 いずれの業態も新型コロナの影響で2020年第Ⅰ期に大きな下落を示しているが、その後の回復に大きな違いがみえる。「ファーストフード店」は、2020年第Ⅳ期頃から新型コロナ前の水準に回復しているが、「パブレストラン、居酒屋」は、人数や酒類の提供について制限を受けた影響もあり、他の業態と大きく差が広がりながら2023年第Ⅰ期では、2019年第Ⅳ期と比べても90%程度まで回復している。

 また、コロナ過の中で「おうち飲み」が話題になったが、その傾向をみると、家計調査では、「酒類」として調査があり、2019年間支出額が4万721円から2020年間4万6276円と5555円(13.6%)増加している。ただし、「おうち飲み」は比較的、値段が安い酒類を選択しているように、節約志向がみえる。改めて2000年以降の動向をみると、酒税の変化からより安い酒類が選択されるように構成が変化している。

 2020年以降の外食代のうち食事代と飲酒代についての変化をみると、2020年から2022年の3年間は複雑に変動しているが、2023年に入り、元の20年平均の動きと水準に戻りつつある。食事代については、20年平均をわずかながら上回っている。食事代が多い月は8月のようで、お盆の影響もあるが、暑いため自宅で調理したくなくなるのと冷たい食事を好むようだ。飲酒代の12月と1月は言わずと知れた忘年会・新年会になる。

 このように、家計における外食代の支出が徐々に新型コロナ前の水準に戻りつつある一方で、厚生労働省の「一般職業紹介状況」から飲食業界に従事する職業の新規有効求人倍率をみると、2023年4月では、調理人が3.5倍、ホールスタッフが4.6倍だった。パートタイムに絞ると調理人が3.3倍、ホールスタッフが6.1倍とかなりの人手不足と姿がうかがえる。飲食業界は、食材高だけでなく、人材の確保という大きな試練が続いているようだ。

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https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20230609hitokoto.html