信金中央金庫が発表した「アフターコロナと中小企業に関する特別調査」結果(有効回答数1万3696社)によると、賃上げ及び一時金支給の実施状況は、賃上げは44.4%が実施、一時金は21.5%が実施となった。原資は、賃上げでは「販売価格引上げ」18.5%、「経費の節減」14.3%、「内部留保の取り崩し」9.0%。一方で一時金支給では、「販売価格引上げ」6.3%、「経費の節減」7.7%、「内部留保の取崩し」6.0%と、横一線になっている。
原材料・仕入価格の上昇分や電力・エネルギー価格の上昇分相当の販売価格への転嫁(上乗せ、値上げ)の有無は、原材料・仕入価格は「転嫁できていない」が27.7%にとどまった一方で、電力・エネルギー価格は48.2%と約半数が「転嫁できていない」と回答。価格転嫁の状況にズレがみられた。従業員規模別にみると、従業員50人以上の企業に限れば、原材料・仕入価格の8割以上、電力・エネルギー価格の6割以上は転嫁できていると回答した。
新型コロナウイルス感染拡大前(およそ3年前)と比較した現在の売上については、「ほぼ変わらない(90~110%)」が40.4%と最も多くなった。「減少(51%~70%)」は7.0%、「大幅減少(50%以下)」は1.5%にとどまっており、大半の企業では売上がほぼコロナ前の水準に回復したと言える。従業員規模別にみると、規模が大きいほど「増加(151%~200%)」や「やや増加(111%~150%)」の比率が多くなった。
3~5年後に向けた事業展開については、「現状維持」が47.2%と、前回調査(2017年6月)と比較して3.4ポイント上昇。対して、「新販路・市場の開拓」は25.9%と、前回調査と比較して7.3ポイント低下した。「特に考えていない」が4.3ポイント上昇(今回11.7%、前回7.4%)したことと合わせると、不透明感が増す中で、新販路や市場への開拓志向が弱まり、現状維持やわからないとの回答が増加したと考えられる。
人材確保のための職場環境改善策(3つまで複数回答)については、「賃上げ等、待遇面の改善」が41.7%と最も多くなった。以下、「ワークライフバランスの充実(長時間労働是正)」が22.2%。対して、「特にない」は34.2%となった。従業員規模別では、規模が大きいほど各種の取組みをしている割合が高かった。また業種別では、建設業や製造業で賃上げを行っている比率が高かった。
同調査結果は
https://www.scbri.jp/reports/businesscycle/20230714-46-15.html