コロナ禍でIT導入進むもデジタル人材不足が課題に

 東京商工会議所が発表した「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」結果(有効回答数1336社)によると、現時点でのデジタルシフトの状況を4つにレベル分けしたところ、「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」(レベル1)=18.8%、「紙や口頭でのやり取りをITに置き換え」(レベル2)=30.6%、「ITを活用して社内業務を効率化」(レベル3)=43.6%、「ITを差別化や競争力強化に積極的に活用」(レベル4)=6.7%となった。

 中小企業のデジタルシフト・DXの課題(複数回答)は、上位は「旗振り役が務まるような人材がいない」 (33.8%)、「従業員がITを使いこなせない」(29.5%)との人材面に関する課題。次いで、コスト面での課題(「コストが負担できない」(27.0%))、デジタルツールの選択と導入効果の評価に関する課題(「業務内容に合ったデジタルツール・サービスが見つからない」(24.5%)、「導入の 効果が分からない、評価できない」(23.0%))が続いた。

 デジタルシフトの目的(複数回答)については、全体では「業務効率化」が最も多く94.1%。レベル4の企業では、「顧客満足度の向上」、「企業文化、働き方の変革」が上位に挙げられた。デジタルシフトを進めることによって得られた効果(複数回答)については、全体で最も多かったのは「業務効率化」で81.4%。レベル4の企業では、「業務の見える化」や「社内コミュニケーション促進」なども上位に挙げられた。

 デジタル人材の確保状況については、「あまり確保できていない」と答えた企業が42.4%と最も多く、「全く確保できていない」と答えた企業も19.5%となり、61.9%の中小企業がデジタル人材の確保に苦慮していることが明らかになった。デジタル人材の確保の方法(複数回答)については、「既存社員の育成」を行っていると答えた企業が最も多く53.2%、次いで「何も実施していない」と答えた企業は35.8%となった。

 サイバーセキュリティ対策の状況は、「ある程度対策している」企業が最も多く69.1%を占める一方で、「十分に対策している」企業は16.9%にとどまり、「あまり対策していない」企業は12.0%、「全く対策していない」企業は1.5%となった。サイバーセキュリティ対策に関する課題(複数回答)では、「社内の危機意識が低い(ない)」が28.2%と最多、次いで「対策を進めることができる人材がいない」25.7%となった。

 同調査結果は

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1034532