2023年度の決定初任給(2023年4月に確定した初任給)の水準は、大学卒(一律)で21万8324円、高校卒(同)で17万9680円だったことが、産労総合研究所が上場企業等を対象に実施した「2023年度決定初任給調査」結果(有効回答数360社)で分かった。2022年度と比べた初任給額の増加率は全学歴で、1993年度以来30年ぶりに2%を超えた。初任給を「引き上げた」企業は、前回2022年度調査比27.1ポイント増の68.1%だった。
初任給を引き上げた企業は、1998年度以降で最も高く、25年ぶりに6割を超えた。据え置いた企業は55.4%(前回65.7%)。一方、「据え置いた」企業は28.9%(同55.4%)。「引き上げた」が「据え置いた」を4年ぶりに上回った。初任給を引き上げた理由(複数回答)は、「人材を確保するため」が前回調査と比べ7.0ポイント増の70.2%で最多、次いで「在籍者のベースアップがあったため」が同3.4ポイント増の49.0%などとなっている。
産業別に「人材を確保するため」をみると、製造業は同13.8ポイント増の76.5%にのぼった。非製造業は64.6%と前回(63.8%)並み。他方、「据え置いた」理由(複数回答)は、「現在の水準でも十分採用できるため」が同12.1ポイント減ながら42.3%で最多となった。これを産業別にみると、製造業は28.1%と前回(52.0%)から大幅に減少し、非製造業も6.9ポイント減って48.6%となった。
2022年度の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は21万8324円、高校卒は17万9680円となっている。一方で、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合、大学卒は「最高額」の平均が23万1835円、「最低額」の平均は20万6268円。高校卒では「最高額」19万1462円、「最低額」17万6080円だった。
4月入社の新卒入社者の場合、入社年度の夏季賞与の支給日には在籍しているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間を過ぎた後の入社という場合が多いが、その中で、何らかの形で夏季賞与を「支給する」企業は86.1%、「支給しない」企業は8.9%。支給額の平均をみると、「大学卒」9万6732円、「高校卒」7万9909円だった。なお、夏季賞与の支給方法は、「一定額(寸志等)を支給」が64.5%と6割以上となっている。
同調査結果は