インボイス制度における仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいのだろうか。適格請求書又は適格簡易請求書に記載された消費税額等を基礎として、仕入税額を積み上げて計算する場合には、一定の区分に応じた金額を基として仕入税額を計算することとなる。
その金額とは、(1)交付を受けた適格請求書(電磁的記録で提供されたものも含む)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額、(2)交付を受けた適格簡易請求書(同)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額(適格簡易請求書に適用税率のみの記載があり、消費税額等が不記載の場合は、適格請求書に消費税額等を記載する際の計算方法と同様の方法により計算した金額のうち課税仕入れに係る部分の金額)。
(3)作成した仕入明細書(電磁的記録により作成したものも含む)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額、(4)卸売市場において、委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の譲渡及び農業協同組合等が委託を受けて行う農林水産物の譲渡について、受託者から交付を受けた書類(電磁的記録により提供されたものも含む)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額。
(5)公共交通機関特例など、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるものについては、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を掛けて算出した金額。以上、適格請求書又は適格簡易請求書に記載された消費税額等を基礎として、仕入税額を積み上げて計算する場合には、(1)から(5)の区分に応じた金額を基に仕入税額を計算することになる。
したがって、インボイス制度における仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、上記(2)の場合なので、適格簡易請求書に記載された金額が、税込金額の場合は、その金額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を掛けて消費税額等を算出する。
また、税抜金額の場合は、その金額に100分の10(軽減税率の対象となる場合は100分の8)を掛けて消費税額等を算出し、その金額を基礎として、仕入税額の積上げ計算を行うことになる。なお、一定規模以下の事業者の事務負担の軽減措置(少額特例)により、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができる課税仕入れについては、上記(5)の場合と同様の計算となる。