旅館・ホテル、「増収」6割に、インバウンドで急回復

 旅館・ホテル業界で業績が急回復している。帝国データバンクが発表した「旅館・ホテル業界の動向調査」によると、過去1年間に帝国データバンクが調査した全国の旅館・ホテル業界のうち、直近の業況が判明した約800社を集計した結果、約6割の企業が「増収基調」であることが分かった。コロナ禍で訪日客も含めた旅行需要が消失した2020~21年度に比べて大きく増加したほか、「全国旅行支援」中だった昨年10月時点の45%も上回った。

 このうち、ホテル業態での増収割合は62%、旅館業態は55%と、ホテル業態での業績回復が目立った。このほか、「前期並み」は37%と、昨年10月時点から大きく減少。「減収」割合は1割を下回り、コロナ禍前の19年度と同等の水準まで低下。コロナの感染状況に業績が左右され続けてきた旅館・ホテル業界は、コロナ禍当初の2020年4月時点では増収見通しが13%、21年同時点は5%と、各企業で非常に厳しい見通しを強いられてきた。

 しかし、22年以降は県民割やブロック割、全国規模の「旅行支援」開始で徐々に業況が回復し、「増収」など先行き好転を見込む企業が急増。こうしたなか、23年以降は水際対策の大幅緩和のほか、新型コロナの5類移行など各種制限も撤廃されたことも重なり、国内旅行客に加えてインバウンド(訪日外国人客)需要も急回復している。旅館・ホテル業界の業況はコロナ禍の悪化局面から脱し、インバウンド増加を追い風に急回復の局面を迎えた。

 この結果、4月時点までの各社業績推移を基にした2022年度通期の旅館・ホテル市場(事業者売上高ベース)は、前年度から約2割増の3.4兆円に到達した。21年度の2兆8509億円(0.5%増)に続き、2年連続で前年度を上回った。過去最高に達したコロナ前の18年度・約5.2兆円から約6割の水準にとどまるものの、前年度比 40%超減と過去に例のない落ち込みを記録した20年度(2兆8360億円)をボトムに回復基調で推移している。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230702.pdf