東京商工リサーチが主要飲食料品メーカー200社を対象に実施した「価格改定・値上げ調査」結果によると、2023年上半期(1~6月)の飲食料品の値上げは、主要メーカー200社の出荷分だけで約2万品(1万9903品)にのぼった。上半期の値上げの特徴は、練り物や缶詰、ハム・ソーセージなどの加工食品やしょうゆ、たれ類など、日々に食卓に欠かせない商品が中心だった。
円安やエネルギー価格の上昇で、原材料や輸送などのコスト高を背景に、メーカー各社は値上げや内容量の削減を余儀なくされた。7月以降の出荷分を含めると、今年の値上げはすでに累計2万9372品と3万品に迫っている。飲食料品主要メーカー200社は、2月~4月の3ヵ月連続で毎月4000品超の値上げを実施。その後、5月は1000品を下回ったが、6月、7月は2ヵ月連続で3500品を上回り、再び「値上げ」が押し寄せている。
10月もすでに3000品超の値上げが予定されている。今後、メーカー各社が秋冬向け食材の出荷計画の発表を控えるなか、秋にも第3弾の値上げの波が起こる可能性が高い。輸入小麦の売渡価格引き上げで、7月はパンメーカー各社が食パン、菓子パンなどの一斉値上げを予定している。また、製粉各社も小麦粉、ミックス粉などの市販品の価格を見直す。8月には醤油やだし類など身近な商品の値上げも控えており、家計の負担増が危惧される。
値上げを公表した2万9372品の分類別は、「調味料」(8429品、構成比28.6%)が約3割を占め、最多。調味料は、醤油や味噌などに加え、人気のだし入り調味料や麺つゆ、鍋つゆ類も軒並み値上げとなり、品目数を押し上げた。「加工食品」(7119品、同24.2%)は、缶詰やインスタントラーメンなどの即席麺、パックごはんの値上げが決まっている。当初、輸入食材や鶏卵、サバなどの原材料不足を背景とした値上げも多かった。
値上げ対象の2万9372品の理由別は、「原材料」が2万7373品(構成比93.1%)でトップ。次いで、「資源・燃料」が2万4142品(同82.1%)、「物流」が1万9187品(同65.3%)、資材・包材が1万8394品(同62.6%)と続いた。先行き不透明な原材料価格の動向に加え、物流コスト、人件費などの上昇が続く見通しで、商品の値上げに波及する可能性が高いとみられている。
同調査結果は