企業の想定為替レートは平均1ドル=127円61銭

 帝国データバンクがこのほど発表した「企業の想定為替レートに関する動向調査」結果(有効回答数1万1108社、分析対象:想定為替レートを設定している2642社)によると、2023年4月時点における、企業の想定為替レートは平均1ドル=127.61円となった。前年4月時点の119.69円から7円92銭の円安水準を想定していた。また中央値、最頻値はともに130 円だった。

 想定為替レートの分布は、126~130円の間を想定している企業が27.1%で割合が最も高く、次いで131~135円が26.3%と続いており、120円台後半から130円台前半を想定する企業で5割を超える。業界別にみると、「卸売」や「金融」が129円台を想定している一方で、「建設」や「運輸・倉庫」の2業界は120円台前半とみている。想定為替レートは、最も円安水準の「卸売」と最も円高水準の「建設」で7.44円の範囲で差があった。

 想定為替レートについて輸出・輸入別にみると、事業として直接または間接のいずれかで「輸出」を行っている企業では129.63円となった。他方、「輸入」を行っている企業は130.64円だった。「輸入」企業は「輸出」企業より約1円の円安水準を想定している。とりわけ海外取引として「直接輸入のみ」を行っている企業(131.03円)は、「直接輸出のみ」の企業(129.43円)より1.60円の円安水準を想定していた。

 規模別では、「大企業」は129.92円、「中小企業」は127.17円、「小規模企業」は126.18円と、規模が大きくなるほど円を安く想定する傾向がある。「直接輸入のみ」を行っている企業では、「大企業」(132.11円)は「小規模企業」(130.66円)より1.45円の円安水準を想定。他方、「直接輸出のみ」では、「大企業」が128.00円、「中小企業」が129.75円、「小規模企業」が130.00円と、輸入企業とは逆に小規模企業ほど円安水準を想定していた。

 2023年の名目為替レートは1ドル=130円台(月中平均、終値ベース)で推移しているが、直近では6月15日に1ドル=140.09円(東京市場、スポットレート、17時時点)を付けるなど、140円前後での推移となっている。現時点で急激な円安・ドル高は進みそうにないが、為替レートは仕入れ価格を通じて海外との取引を持たない企業の収益を悪化させる要因ともなり、当初の想定以上の為替変動は企業業績に影響を与えることになる。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230607.pdf