夏のボーナス、前年より「増加」企業が4割近くに

 帝国データバンクが発表した「2023年夏季賞与の動向アンケート調査」結果(有効回答数1095社)によると、今年の夏季賞与の支給状況は、「賞与はあり、増加する」と回答した企業の割合は37.4%となった。「賞与はあり、変わらない」は36.4%、「賞与はあるが、減少する」は9.3%で、合計すると、『賞与あり』の企業は83.1%だった。一方で、「賞与はない」企業は11.2%となった。

 調査方法や支給時期が異なるため単純な比較はできないが、賞与が増加すると回答した企業の割合は、2022 年冬季賞与(21.2%)に比べると大幅に上昇している。また規模別に「賞与はあり、増加する」企業の割合をみると、「大企業」は42.3%、「中小企業」は36.5%となり、2022年冬季賞与をそれぞれ20ポイント近く上回った。他方、「小規模企業」は27.3%となり、全体(37.4%)より10.1 ポイント低くかった。

 業界別にみると、「製造」で夏季賞与が増加すると回答した企業の割合は41.0%と全体を3.6ポイント上回った。なかでも「鉄鋼・非鉄・鉱業」における割合は 52.2%にのぼった。また、「卸売」(40.6%)、「不動産」(40.0%)も4割台にのぼった。他方、夏季賞与が減少すると回答した企業の割合においても「製造」は13.8%と全体(9.3%)より4.5ポイント高かった。特に「化学品製造」では22.7%の企業が賞与を減らす結果となった。

 2023年の夏季賞与の従業員1人当たり平均支給額の前年からの変化は(任意回答)、前年から平均で2.4%増加した。規模別では、「大企業」は3.5%増、「中小企業」は2.2%増、うち「小規模企業」は2.4%増となった。賞与が増加する企業では、増加率「3~5%未満」が27.9%で最も高かった。他方、賞与が減少する企業では、減少率「3~5%未満」、「10~20%未満」がともに18.0%でトップとなった。

 賞与支給予定の企業は多いものの、止まらない物価高騰により消費拡大への効果は限定的と考えられる。また、今後は電気料金の値上げなどのさらなるコストアップが企業収益を圧迫することで賞与等賃金の引上げが難しくなり、賃上げの動きは一過性のもので終わる懸念もある。「持続的な賃上げ」の実現に向けて、国全体の課題として官民が連携し、多方面にわたる対策を講じていくことが求められる。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230604.pdf