5月のコロナ破たん、257件で過去3番目の件数

 東京商工リサーチの調査によると、5月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が257件判明し、全国で累計6193件となった。件数は2022年に入って増勢を強め、9月以降は200件台が続き、2022年は前年(1718件)から3割増の2282件にのぼった。2023年に入っても増え続け、3月はこれまでの最多を大幅に更新する328件。4月はこれに次ぐ271件で、5月も257件と過去3番目の件数で高止まりしている。

 倒産集計の対象外となる負債1000万円未満の小規模倒産は累計311件判明した結果、これらを含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で6504件に達した。国内の企業数(358万9333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.181%で500社に1社近くが破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは「東京都」の0.317%、最低は「宮崎県」の0.080%で、地域によってばらつきもみられる。

 5月8日、新型コロナは「5類」へ引き下げられた。繁華街や行楽地には人手が戻り、訪日観光客などインバウンド需要の回復にも期待がかかる。一方で、経済の回復期にあって、多くの企業は、コロナ関連融資の返済や運転資金需要と資材高・人手不足などの新たな経営課題への同時対応が求められている。コロナ禍で経営体力が疲弊した企業の脱落やあきらめ型を中心に、コロナ破たんは引き続き高水準で推移する可能性が高まっている。

 業種別では、コロナ禍での来店客の減少に加え、食材や光熱費高騰の負担も重い「飲食業」が最多で982件に及ぶ。次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた「建設業」が727件に達した。小売店の休業が影響した「アパレル関連(製造、販売)」の453件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている「飲食料品卸売業」が263件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の「宿泊業」が190件と、上位を占めている。

 負債額が判明した6137件の負債額別の構成比では、「1千万円以上5千万円未満」が最多の38.2%、次いで「1億円以上5億円未満」が31.6%、「5千万円以上1億円未満」が20.0%、「5億円以上10億円未満」が5.0%、「10億円以上」が4.9%の順。負債1億円未満が58.3%と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも17件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197700_1527.html