海外展開を行っている中小企業は18.0%~日本公庫

 日本政策金融公庫が発表した「中小企業の海外展開と国内回帰に関する調査」結果(有効回答数3790社)によると、調査時点(3月中旬)で海外展開を行っている企業の割合は、全体の18.0%だった。海外展開の形態別にみると、「海外直接投資を行っている」企業が全体の6.6%、「海外の企業に生産を委託」が同4.2%、「海外に直接輸出」が同7.2%、「海外に間接輸出」が同6.1%、「越境ECを行っている」が同0.6%となっている。

 一方、「海外展開を行っておらず、関心もない」企業は全体の71.3%にのぼる。そのほか、「海外展開を行っておらず、予定もないが、関心はある」企業は9.0%、「海外展開を行っていないが、予定がある」企業は1.7%となっている。従業者規模別にみると、海外展開を行っている企業の割合は規模が大きい企業ほど高い。業種別にみると、「製造業」(30.7%)や「卸売業」(25.9%)で高くなっている。

 海外展開を行っていない企業が、予定または関心のある形態は、予定がある企業、関心がある企業ともに「間接輸出」(それぞれ41.9%、54.8%)が最も多い。また、海外展開の予定または関心がある企業が、これまで海外展開を行ってこなかった理由(複数回答)では、「人材がいない」が53.1%と最も多く、次いで「販路を確保できない」(48.6%)、「海外にどんな需要があるかわからない」(38.1%)が続いた。

 海外直接投資または海外生産委託を行っている企業の過去10年間の国内回帰の状況は、「国内回帰を行ったことがある」企業は15.0%、「国内回帰を行ったことはないが、今後予定している」企業は3.8%、「国内回帰を行ったことも予定もないが、検討している」企業は11.4%となった。従業者規模別にみると、規模の小さい企業ほど「国内回帰を行ったことがある」割合が高くなる傾向にある。

 国内回帰を行ったことがある企業のその理由(複数回答)は、「現地で人件費が上昇している」が37.3%、「円安傾向が強まっている」(25.5%)、「コロナ禍で行動制約があった」(23.5%)の順。国内回帰を行ったことはないが今後予定・検討している企業の理由(複数回答)は、「円安傾向が強まっている」が58.8%と最も多く、次いで「現地で人件費が上昇している」(49.0%)、「為替変動のリスクを避けるため」(41.2%)となった。

 同調査結果は

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_230601_2.pdf