広がりの可能性をみせる屋根設置型太陽光発電

 信金中央金庫が発表したレポート(ニュース&トピックス)は、「屋根設置型太陽光発電」を採り上げている。太陽光発電は、2012年7月から開始された再生可能エネルギー(「再エネ」)の固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)をきっかけに拡大を続けてきた。2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻を受けた燃料価格の高騰等を背景に、太陽光発電をはじめとする再エネによる電力調達への需要が高まっている。

 経済産業省が2023年3月24日に公表した再エネの買取価格等をみると、2023年下半期以降の買取価格について、住宅用太陽光発電は横ばい、屋根設置型の事業用太陽光発電では引き上げられている。このように、屋根設置型の太陽光発電の導入促進への期待が高まるなか、レポートは、東京都が2025年4月に施行する予定の太陽光パネル設置等の義務化に焦点を当てて紹介している。

 東京都が2022年9月9日に公表した「カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針」によると、都内では、二酸化炭素排出量の7割が建物でのエネルギー使用に起因し、2050年時点で、建物ストックの約半数(住宅は7割)が、今後新築される建物へ置き換わると見込んでいる。また、2020年度のエネルギー消費量を部門別にみると、家庭部門は、世帯数の増加等を背景に、2000年度比で唯一増加した。

 こうした中、東京都は、2030年カーボンハーフの実現に向けて、新築建物への対策が極めて重要との認識から、新築住宅等への太陽光発電設備の設置等を義務化する新制度の導入を検討するに至った。2022年12月15日に開催された都議会で「環境確保条例」の改正案を可決・成立させ、ハウスメーカー等を対象とした新築住宅等への太陽光発電設置等について、今後、約2年間の準備・周知期間を経て、2025年4月から義務化する予定だ。

 新制度の対象者は、住宅等の施主や購入者(都民)ではなく、住宅を供給するハウスメーカー等であることに留意が必要だ。施主や購入者は、ハウスメーカー等からの説明を聞き、環境負荷低減に努めるという仕組みだ。太陽光発電設備等の設置義務化は、東京都が初めてではなく、京都府や群馬県でも行われている。約2年間の準備・周知期間における東京都のチャレンジは、今後、全国各地の自治体における動きに大いに影響を与えるとみられる。

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https://www.scbri.jp/reports/newstopics/20230522-post-444.html