大阪シティ信用金庫が発表した「中小企業における人手不足の実態と対応策等調査」結果(有効回答数1317社)によると、人手の過不足感は、「適正」と答えた企業が64.5%で最も多く、これに対し、「過剰」とする企業は1.1%、「不足」とする企業は34.4%だった。これを前回調査(2021年)と比べると、「過剰」が6.6ポイント、「適正」が12.0ポイントそれぞれ減少する一方、「不足」が18.6ポイントと大幅に増加した。
新型コロナ感染症の影響による事業活動の縮小で、人手不足企業割合は2020年(16.0%)、2021年(15.8%)と10%台に急低下したが、経済活動の再開に伴い、今回の調査ではコロナ禍前の水準に戻した。一時的に緩和していた人手不足が再び顕在化したかたちだ。業種別でみると、「不足」とする企業割合はトラック運転手の労働時間の上限規制「2024年問題」を抱える「運輸業」(53.7%)で5割を超え、特に不足感が強くなっている。
人手不足の深刻度合いは、「かなり深刻である」と答えた企業は12.1%だが、「やや深刻」とした企業が59.9%あり、これらを合計した「深刻」とする企業割合(72.0%)は7割超となった。現状の人手不足を深刻と捉える企業は非常に多く、人手不足企業においては喫緊の経営課題といえる。業種別でみると、「深刻」と答えた企業割合は「サービス業」(80.0%)で8割に及び最も高くなっている。
人手不足の原因(複数回答)については、「退職による欠員が補充できていないから」と答えた企業が 49.0%で最も多い。新規雇用の難しさや人件費負担の重さなどから人手不足が慢性的な状態となっていることがうかがえる。次いで、「売上・受注の回復で忙しくなったから」が47.5%と僅差で続いている。業種別でみると、「欠員の未補充」と答えた企業割合は「小売業」(60.0%)で最も高い。
人手不足の悪影響(複数回答)は、「受注機会の逸失」と答えた企業が71.1%で圧倒的に多い。経済環境が回復するなか、受注増への対応が困難なため、せっかくのビジネスチャンスを生かしきれず、業績の足かせになっている企業が多いようだ。次いで「(人件費・外注費等の)経費の増加」が31.1%で多く、以下、「商品・サービスの質の低下」(25.4%)、「技術・ノウハウの継承が進まない」(21.2%)などとなっている。
人手不足への対応策(複数回答)は、「従業員を募集している」と答えた企業(73.5%)が7割を超え、圧倒的に多い。求人以外の対応策では、「(残業や休日出勤など)現人員で対応している」企業(33.0%)が多く、限られた人員で何とか対応せざるを得ない状況がうかがえる。以下、「外注を活用している」が27.2%、「省力化・効率化を推進している」が18.3%、「受注を制限している」が7.6%と続いている。
同調査結果は
https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2023/2023-05-19.pdf