2022年の新設法人数は2年ぶり減少の14万2189社

 東京商工リサーチが発表した「全国新設法人動向調査」結果によると、2022年1年間に全国で新しく設立された法人は14万2189社(前年比▲1.6%減)で、2年ぶりに減少した。2021年は前年の反動もあり、14万4622社と過去最多を更新。2022年は減少したものの、過去2番目の14万社台を維持した。調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約400万社)から、2022年に全国で新しく設立された全法人を抽出・分析したもの。

 都道府県別では11府県で増加し、このうち4県が東京近郊だった。リモートワークなど働き方の変化が影響した面もあるとみられる。働き方の多様性も法人設立に影響を与えているようだ。コロナ禍でビジネスモデルが大きく変わり、コロナ禍が直撃した飲食業、宿泊業、建設業などは減少した。一方、税理士・社会保険労務士・行政書士・弁護士など、資格を生かした“士業”が増えた。

 都道府県別で増加したのは、青森県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、長野県、三重県、京都府、島根県、愛媛県、高知県の11府県だった。リモートワークの浸透により、勤務地や取引先との距離の問題を低減させ、ワーク・ライフ・バランスを求める風潮も後押しした可能性がある。また、これまでに取得した資格での独立も増えている。コロナ禍で、仕事への取組み方が少しずつ変わり始めたかも知れない。

 産業別は、10産業のうち8産業で減少。「農・林・漁・鉱業」が▲9.1%減で減少率が最も大きかった。以下、「建設業」の▲7.1%減、「運輸業」の▲4.9%減と続く。いずれの産業もコロナ禍で打撃を受けたほか、後継者難や人手不足に直面しており、2022年の新設法人数はこれを反映した結果となった。一方、「卸売業」は9.3%増と1割近く増加。また、「情報通信業」は0.2%増と僅かだが増加した。

 2022年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(2021年度)で除した都道府県別「新設法人率」を算出した結果、トップは「沖縄県」の7.53%。新設法人率の算出を開始した2010年以降、13年連続で全国トップを守った。以下、「東京都」の6.84%、「福岡県」の5.82%、「大阪府」の5.64%と続く。一方、新設法人率が最も低かったのは、「秋田県」の2.68%。次いで、「山形県」の2.74%、「岩手県」の2.78%と東北各県が続く。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197658_1527.html