「物価高倒産」、4月は75件で10ヵ月連続最多を更新

 帝国データバンクが4月30日に発表した「食品主要195社」価格改定動向調査によれば、2023年も2万品目を超える食品の値上げが予想されており、物価高は長期化の様相を呈している。仕入価格の上昇を価格転嫁できないほど「物価高」が最後の追打ちとなる倒産も増加の一途をたどっており、2023年4月の物価高倒産は75件となった。10ヵ月連続で最多を更新、2018年1月に集計を開始以降、累計で1000件を突破した。

 全体の倒産件数も増加基調のなか、「物価高」に起因した倒産はハイペースで増加しており、今後も高水準で推移していくものとみられる。全体の倒産件数が2月の574件から800件に急増した3月には、「物価高倒産」も前月を大きく上回ったが、4月は全体の倒産件数が610件と前月を下回るなかでも、「物価高倒産」は増加。倒産件数全体に占める「物価高倒産」の割合は3月の8.3%から4月は12.3%と大きくなっている。

 業種別にみると、「建設業」(23件、構成比 31%)がトップ。次いで「製造業」と「運輸業」(各13件、同17%)、「サービス業」(12件、同16%)、「小売業」(7件、同9%)と続いた。トップの「建設業」では、資材高の影響を受けた木造建築工事業者や土木工事業者が多く、「製造業」では食料品や印刷など多方面にわたった。「運輸業」は燃料高に加え、『2024 年問題』も抱えるなど業界環境は非常に厳しい状況が続いている。

 要因別にみると、「エネルギーコスト」と「人的コスト」が 25.0%で最多となり、「運輸業」ではこの2要因が大部分を占めた。上記のように、2023年も2万品目を超える食品の値上げが予想されている。値上げにおいても原材料高、包装資材高の影響は大きいが、倒産を見るうえでも、物価上昇分を価格転嫁ができずに倒産に至るケースも散見され、今後も「物価高倒産」は高水準で推移するとみられている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230505.pdf