22年度アルバイト平均時給、1120~1158円の間で推移

 リクルートの調査研究機関「ジョブズリサーチセンター」が発表した2022年度の「アルバイト・パート募集時平均時給調査」結果によると、2023年3月までの1年間の三大都市圏(首都圏・東海・関西)の募集時平均時給は、1120~1158円の間で推移した。例年と同じく4~12月は増加が続き、12月が最も高い。前年同月増減率をみると、8月以降増加傾向が強まり、11月が+3.4%で最も高く、それ以降は伸びが落ち着いてきている。

 2022年度の募集時平均時給は、2020年5月に新型コロナウイルス感染症の影響により、幅広い職種で平均時給が大きく下がり、フード系やサービス系職種ではその影響が特に長く続いていたが、2022年後半に入るとまん延防止等重点措置も終了して人材需要が高まり、時給が上昇傾向となった。最低賃金の大幅な引上げや、物価上昇を受けた賃上げの動きも後押しとなったと考えられる。

 職種別に三大都市圏の募集時平均時給の推移をみると、「販売・サービス系」は、1084~1110円の間で推移。9月までは大きな動きがなかったが、10月から20円程度増加しており、要因のひとつとしては最低賃金の引上げが考えられる。コロナ影響は職種によって差があり、販売系(レジ、コンビニスタッフなど)は2021年にはおおむね回復した一方で、サービス系(宿泊関連など)では影響が続いていたが、2022年下旬から回復傾向にある。

 「フード系」の募集時平均時給は、1051~1100円の間で推移。前年同月からの増減率は+5%超という高い水準が続いている。10月には前月より19円の増加となっており、最低賃金の引上げの影響を受けたものとみられる。フード系ではコロナ影響が長引いていたが、2022年後半には人材不足感が急激に高まった。行動制限が緩和され夜間の営業が再開したことも、平均時給を引き上げたと考えられる。

 「製造・物流・清掃系」の募集時平均時給は、1120~1176円の間で推移。比較的時給の高い年末の短期求人が増えることなどから、例年12月がピークとなっている。また、10月には最低賃金の引上げの影響もあり平均時給が増加したと考えられる。前年同月からの増減率は+3%前後が続き、継続的に増加。特にドライバーや仕分けといった物流関連ではEC販売の増加などで求人ニーズが引き続き高く、人材不足が続いているとみられる。

 「事務系」の募集時平均時給は、1207~1271円の間で推移。前年同月からの増減率は、2022年の前半は4%を超える月もあったが、2022年の後半からは減少が続き、2023年にはマイナスとなっている。事務系ではコロナ影響は比較的小さく、時給上昇が続いていたが、2022年の後半からは落ち着いていきている状況。中でもコールセンタースタッフは、ECサイトの問い合わせ対応などの需要の落ち着きとともに平均時給も減少している。

 「営業系」の募集時平均時給は、1188~1304円の間で推移。他の多くの職種区分と比べると募集時平均時給は高い水準となっているが、11月には100円近く減少した。前年同月からの増減率は、最も高かった9月は7.2%、最も低かった2023年1月は-5.7%と変動の幅が大きくなっている。営業系に関しては、個別企業の動向の影響によって、月ごとの変動が大きい結果となっているとみられる。

 「専門職系」の募集時平均時給は、1297~1379円の間で推移。他の職種区分と比べて、募集時平均時給は高い。前年同月からの増減率は-0.6%~+7.5%と、職種による差が大きいこともあり、月による変動が大きくなっているが、おおむね前年より増加。介護業界では訪問介護の再拡大が起こっている上、感染対策の業務も追加されさらに人材ニーズが高まっている。また、塾講師や家庭教師の需要増加が時給上昇につながったと考えられる。

 同調査結果は

https://jbrc.recruit.co.jp/data/pdf/230421_heichin.pdf