帝国データバンクが発表した「2023年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1428社)によると、2023年度(2023年4月決算~2024年3月決算)の業績見通し(売上高及び経常利益)は、「増収増益」と回答した企業は26.4%となり、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置がすべて解除された前回調査(2022年3月)の 2022年度見通しから2.3 ポイント増加した。
他方、「減収減益」は2022年度見通しから3.6ポイント減の20.3%と3年連続で減少した。増収及び増益を見込む企業はいずれも前年よりも割合が高まったが、減収及び減益はともに前年より低下した。企業の2023年度の業績見通しは、売上拡大が続く一方で、コストアップなどから利益面は伸び悩みがみられると同時に、「増益」、「減益」の二極化傾向がみられた。
業績見通しを業種別にみると、「増収増益」では「サービス」(32.8%)が最も高く、「運輸・倉庫」(29.8%)が続いた。特に「サービス」は、全国旅行支援などで観光需要の高まりが期待される「旅館・ホテル」が51.9%で51業種のトップだった。他方、「減収減益」では、「建設」(26.1%)が最も高く、「農・林・水産」(23.8%)が続いた。「建設」の収益悪化見通しなどもあり、「再生資源卸売」が43.3%と51業種で最も高くなった。
2023年度の業績見通しを上振れさせる材料(複数回答)は、「個人消費の回復」が38.8%と3年ぶりにトップとなった。2年連続で最も高かった新型コロナなどの「感染症の収束」は28.0%で2番目となったが、前回調査(2022年3月)より12.2ポイントも減少した。以下、「原油・素材価格の動向」(27.7%)、「所得の増加」(19.9%)、「公共事業の増加」(18.8%)、「人手不足の緩和」(18.8%)が続いた。
一方で、2023年度の業績見通しを下振れさせる材料(複数回答)では、「原油・素材価格の動向」(45.2%)が2年連続でトップとなった。次いで、「人手不足の深刻化」(33.9%)、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)や「物価上昇(インフレ)の進行」(30.0%)が3割台で続いた。特に「人手不足の深刻化」は前回調査より10.2ポイント増、「物価上昇(インフレ)の進行」は6.2ポイント増加した。
同調査結果は