事前照会に対する文書回答手続きは、納税者サービスの一環として、事前照会に対する回答を文書で行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の納税者の予測可能性を高めることを目的として実施している。この文書回答手続きについて、納税者利便の一層の向上の観点から改正された。まず、照会文書の提出からおおむね1月以内に、(1)文書回答の可能性及び(2)処理の時期の見通し等を口頭で説明される。
上記の1月以内からは、補足資料の提出等を求められた日から提出等をした日までの期間が除かれる。次に、照会内容等の公表が、最長1年(改正前180日)まで延長可能となった。改正前の制度は、(1)文書回答の可能性及び回答時期の見通しについて事前照会者に連絡する制度がない、(2)回答内容等の非公表期間について、最大180日間では経済上の秘密が保持できず、文書回答制度の活用をためらうとの意見があり、今回の見直しとなった。
1ヵ月の時点で説明してもらえる内容については、文書回答の可能性及び処理の時期の見通しについて説明される。文書回答の可能性については、1ヵ月の時点で、まず、文書回答が可能か否か又は未だその判断ができない状態にあるかが説明され、次に、可能な場合は、どのような回答となるのか、可能でない場合は、なぜ文書回答できないか、可能か否か判断ができない場合は、その理由、などが説明される。
また、改正前の事前照会制度にはなかった処理の時期の見通しについては、できる限り「2ヵ月後」といった具体的な時期の見通しを示すよう努めるが、1ヵ月の時点で具体的な時期を示すことができない場合には、その理由を説明するとともに、どのようなことが確認できれば処理できるかなど、その時点で示すことができるものについて、説明されることになる。
公表までの期間を延長してもらえるケースとしては、例えば、照会に係る新たな金融商品の内容が販売前に公表されるとその金融商品の販売に支障が生じ得るといった場合など、照会に係る取引等の内容が一般に明らかになる前に文書回答を公表することによって、事前照会者に不利益等が生じるおそれがあると認められる場合には、公表までの期間を延長することがでる(最長1年)。