22年度飲食業倒産、低水準から一転5ヵ月連続の増加

 東京商工リサーチが発表した「2022年度の飲食業の倒産動向調査」結果によると、3月まで1年間の「飲食業」倒産(負債1000万円以上)は592件(前年度比▲3.2%減)で、3年連続で前年度を下回った。年度で600件を割り込むのは、2004年度以来、18年ぶり。ただ、月次の件数は2022年11月から5ヵ月連続で前年同月を上回った。特に、2023年に入って増加率は前年同月の1.5倍以上に急増している。

 新型コロナウイルス関連倒産は385件(前年度比24.5%増)発生し、2年連続の増加。コロナ関連倒産の構成比も高止まりし、2022年8月から8ヵ月連続で飲食業倒産の半数以上をコロナ関連倒産が占める。各種支援策が終了するなか、コロナ禍の影響で業績不振から抜け出せない事業者に、人件費や食材費の上昇など、コストアップによる収益の圧迫が追い討ちをかけており、飲食業の息切れ倒産は今後、さらに増加することが危惧される。

 業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」が137件(前年度比▲9.2%減)で最多。以下、「食堂,レストラン」が133件(同13.6%増)、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」が128件(同14.6%減)と続く。前年度比で増加したのは、「食堂,レストラン」のほか、「宅配飲食サービス業」43件(同138.8%増)と「持ち帰り飲食サービス業」27件(同58.8%増)だった。

 コロナ関連倒産が占める割合が最も高かったのは、「専門料理店」の75.1%(コロナ関連倒産103件)。次いで、「居酒屋」(同96件)と「そば・うどん店」(同6件)の75.0%。3業種では、倒産に占めるコロナ倒産の割合が7割を超えた。また、「すし店」(同7件)の46.6%以外はすべてコロナ倒産率が5割を上回っており、コロナ禍からの業績回復が進まない飲食業者を中心に、今後も厳しい状況が続く可能性が高い。

 原因別では、最多が「販売不振」の486件(前年度比▲4.5%減)。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」34件(同▲8.1%減)、「他社倒産の余波」23件(同21.0%増)、「事業上の失敗」20件(同5.2%増)の順。最も増加率が高かったのは、代表者死亡・体調不良などを含む「その他」の16件(同33.3%増)。『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は520件で、構成比は87.8%と、前年度を1.4ポイント下回った。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230407_02.html