個人事業者の事業開始等に行う届出書等提出の見直し

 個人事業者が新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止又は事業を廃止したときは各種届出書の提出が必要となる。例えば、事業を開始・事業所等を開設等した場合は、事業開始等の日から1ヵ月以内に、青色申告の承認を受ける場合は原則、承認を受けようとする年の3月15日までに、また、青色申告書の提出の取りやめの場合は事業年度終了の日の翌日から2月以内に、それぞれ提出する必要がある。

 2023年度税制改正では、個人事業者がその事業を開始し、又は廃止した場合に行う届出書等の提出を一括で行えるよう、見直しが行われる。具体的には、(1)個人事業の開業・廃業等届出書について、その提出期限をその事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限とするとともに、事務所等を移転する場合のその提出先を納税地の所轄税務署長とするほか、記載事項の簡素化が行われる。

 さらに、(2)青色申告書による申告をやめる旨の届出書について、その提出期限をその申告をやめようとする年分の確定申告期限とするとともに、記載事項の簡素化が行われる。(3)イ.納期の特例に関する承認の申請書、ロ.青色申告承認申請書及び青色専従者給与に関する届出書、ハ.給与等の支払をする事務所の開設等の届出書について、記載事項の簡素化が行われる。

 以上のように、納税環境整備の一環として、申請等の簡素化が図られるが、制度周知の関係から、上記(1)の改正は2026年1月1日以後の事業の開始等について、上記(2)の改正は2026年分以後の所得税について、上記(3)イ.の改正は2027年1月分以後の承認申請について、上記(3)ロ.の改正は2027年分以後の所得税について、上記(3)ハ.の改正は2027年1月1日以後の事務所の開設等について、それぞれ適用される。