民事再生法適用の生存率26.7%、「再建型」有名無実に

 東京商工リサーチがこのほど発表した「民事再生法適用企業の追跡調査」結果によると、2000年4月、和議法に代わる再建型倒産法として「民事再生法」が施行されたが、適用企業の生存率は26.7%と3割に届かないことが分かった。基本的に従来の経営陣が残り、再建計画の可決要件の緩和など「使い勝手の良い」倒産法としてスタートしたが、私的整理が広がるなかで運用は曲がり角にきている。

 民事再生法の適用を受けた7988社のうち、事業継続を確認できたのは2133社(26.7%)にとどまった。申請条件が緩い一方で、再建型倒産手続きの厳しい現実を示している。申請年別では、2000年(4月1日~)の生存率は17.0%で、以降は2017年まで20%台が目立つ。2018年以降の生存率は40%を超えるが、認可決定から3年を経過しておらず、手続きが終結していない企業が大半を占める。時間の経過とともに消滅する可能性が高い。

 負債総額が大きなケースでは、2008年9月申請の「リーマン・ブラザーズ証券(株)」は、2013年に再生手続きが終結したが、2019年8月に清算結了し消滅した。また、流通大手として一時代を築いた「(株)マイカル」は、2001年9月に申請した後、同年11月に会社更生法の適用を申請。2005年12月の更生手続き終結後、2011年3月にイオンリテール(株)に吸収された。

 一方、自動車部品の「タカタ(株)」は、2017年6月に申請し、2021年6月に再生手続きが終結。現在は商号をTKJP(株)に変更し、エアバッグインフレータのリコール品回収・廃棄を担っている。また、カルソニックカンセイ(株)を源流とする「マレリホールディングス(株)」は事業再生ADRで再建を模索したが調整がつかず、2022年6月に民事再生法を申請した。簡易再生手続きを経て、現在に至っている。

 消滅企業でも、事業は他社へ譲渡され、存続するケースもある。近年、私的整理を活用した債務整理に向けた動きが活発だが、透明性の高い法的手続きで債務を圧縮して同一企業で事業を存続するか、他社に事業譲渡するか。あるいは、私的整理の枠組みで事業を継続するか。現実的な再建や社会的な便益に配慮した選択肢は増えている。債務整理は多様なステークホルダーの権利変更を伴うことを再度確認し、多面的な議論が必要だ。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230328_01.html