帝国データバンクが発表した「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万203社)によると、新型コロナ関連融資の借入の有無は、「借りていない」企業は44.8%だった一方、「現在借りている」企業は49.6%と約半数となった。「現在借りている」企業のうち、2023年2月時点で融資の「5割以上」を返済は18.7%となった一方、返済が「3割未満』の企業は38.7%、「未返済や今後返済開始」の企業は29.5%だった。
新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業の返済開始時期は、69.2%が「すでに返済開始」をしていた。そのうち、67.0%「条件通り返済」しているが、2.2%は返済額の減額などの条件緩和や返済猶予を受けていた。また、「2023年6月末までに返済が始まる」(12.3%)、「2023年12月末までに返済が始まる」(10.0%)と合わせると、2023年中に2割超の企業が新たに返済開始を迎える。
新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業の今後の返済見通しは、85.4%が「条件通り、全額返済」できる。しかし、「返済が遅れる恐れがある」(4.5%)や「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」(5.2%)、「返済のめどが立たないが、事業は継続できる」(1.5%)、「返済のめどが立たず、事業を継続できなくなる恐れがある」(1.0%)など、今後の『返済に不安』を抱いている企業は12.2%と1割を超えた。
業種別で返済に不安感を抱く企業では、新型コロナによる影響を大きく受けた「旅館・ホテル」が39.3%で最も高かったものの、2022年8月時点(39.7%)より低下。また、「飲食店」(2022年2月時点28.6%、8月時点34.7%→2023年2月時点31.7%)は3割前後での推移が続いた。返済に不安を抱く企業を従業員数別にみると、「5人以下」が18.7%と2割近くにのぼるほか、「6~20人」(13.9%)も二ケタ台が続いている。
政府・自治体や金融機関等による資金繰り支援の利用状況(複数回答)については、「コロナ関連融資と他の融資の一本化」が21.3%(1081社)で最も高かった。特に、企業規模が小さくなるほど融資の一本化を行う傾向がみられた。また、信用金庫がメインバンクとなっている企業で一本化を図る動きが目立った。次いで、2023年1月から始まった「借換保証制度」(11.0%、556 社)が1割超となった。
借換保証制度の利用は、返済見通しにおいて「返済が遅れる恐れがある」、「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」と考えている企業ほど利用していた。以下、「伴走支援型特別保証」(6.8%、346社)、「セーフティネット保証4号の期限延長」(6.1%、310社)、「セーフティネット貸し付けの金利引き下げ・期限延長」(5.8%、296社)などが続いた。
同調査結果は