東京商工会議所は、事業承継対策委員会において、3月23日、「後継者が決まっていない 小さな会社のためのM&Aガイド」を発行したと発表した。同ガイドには、M&Aを検討すべき具体的なケース(M&A検討チェックシート)やM&Aを通じて期待されるメリット、M&Aに対するよくある誤解とそれに対する解説などのほか、M&Aを通じて承継を実現した中小企業4社の事例等も掲載されている。
中小企業経営者の高齢化が進み、後継者不在を理由とした廃業の増加が懸念されるなか、親族や社内に後継者が存在しない企業が廃業を回避し、「価値ある事業」を継続・発展させるためには、第三者承継(M&A)が有効な手段となる。しかし、東商が2021年に公表した調査によると、「後継者を決めていないが事業は継続したい」と回答した企業のうち、8割を超える企業が「M&Aを検討したことがない」と回答している。
このように、M&Aマーケットが拡大する中においても、いまだに中小企業におけるM&Aに対する理解や、廃業を回避する有効な選択肢としての認識が広がっていないことが大きな課題となっている。このような認識のもと、東商は中小企業におけるM&Aの正しい理解促進と、具体的な行動・着手につなげるべく、「後継者が決まっていない 小さな会社のためのM&Aガイド」を作成したと、発行の背景を語っている。
同ガイドは、M&Aの進め方を解説する一般的なハウツー本とは異なり、M&Aに消極的な中小企業経営者が固定観念から脱し、メリットを理解させることを目的とした内容で構成。具体的には、中小企業がM&Aを検討すべきケースをまとめたチェックシートや、M&Aを通じて得られるメリット、後継者不在企業がM&Aにより事業を承継し譲受企業との相乗効果により更なる成長を目指す4社の事例などを掲載している。
同ガイドについては、東商のホームページから無料でダウンロードできるほか、関係各所へも送付するという。
同ガイドのデジタルブックは
https://tokyo-cci.meclib.jp/manda_guide/book/#target/page_no=1